衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが欧州SAP製のERP(統合基幹業務システム)パッケージの導入を決めたことが日経コンピュータの取材で2017年6月12日に分かった。世界の大手企業で稼働実績が豊富なソフトを基幹システムに活用して、ビッグデータ分析やデジタル化などIT活用の強化につなげる。

都内のユニクロ店舗
都内のユニクロ店舗
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 ファーストリテイリングは現在、米アマゾン ウェブ サービスのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」や米オラクルのデータベースなどの製品を使って基幹システムを稼働させている。人事や会計のほか在庫管理、店舗運営、サプライチェーン管理などの業務で、本社や店舗、倉庫、工場の社員など10万人以上が利用している。

 事業拡大やグローバル化に合わせてIT関連のリソースを柔軟に拡張しやすい点などを評価して、AWSなどのクラウド活用を進めてきた。クラウドへの移行が順調に進んでいることから、ビッグデータ分析による需要予測やEC(電子商取引)といったデジタル戦略を一段と強化する目的で、SAP製品の採用を決めたもよう。

 ファーストリテイリングが展開するユニクロの店舗数は既に海外が、日本国内を上回っている。海外事業の売上高はユニクロ事業全体の5割に迫り、中国や香港、台湾、韓国、東南アジアなどでの出店が成長をけん引している。システム整備によりグローバル化を加速して、地域のニーズに合わせた商品開発や品ぞろえ、過剰在庫の削減などの経営強化を狙う。

 総投資額は最大で数百億円規模に達する可能性がある。全面稼働時期は2018年以降のもよう。一部機能を先行稼働させる可能性もある。ファーストリテイリングは日経コンピュータの問い合わせに「ノーコメント」(広報)と答えた。

 ファーストリテイリングは2015年にアクセンチュアと共同出資会社を設け、デジタル戦略の強化に向けてECサイトの開発などを進めている。SAP製品の導入についてもアクセンチュアが関与する可能性がある。アクセンチュアは「コメントできない」(広報)と回答した。

■変更履歴
当初、第5段落で「総投資額は最大で数百円規模」と記載していましたが、正しくは「総投資額は最大で数百億円規模」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/06/12 16:00]