米Amazon.comがインドで計画している食料品のネット販売事業に関する認可が、まもなく下りる見通しとなった。これによりAmazon.comは今後5年間で5億ドルを投じ、インド全域にわたる食料品の物流ネットワークを構築する。インド政府当局者がそう語ったと、米Wall Street Journalが現地時間2017年6月8日に報じた。

 Amazon.comは2013年6月にインドで電子商取引サイト「Amazon.in」を開設した。だが同国には小売業に対する外資規制があり、米国や日本のように商品を自らを仕入れ、販売することができなかった。

 このため、地場の出店者と消費者を仲介するマーケットプレイス事業や、商品の保管と配送などを代行する「Fulfillment by Amazon(FBA)」事業を運営してきた。

 ところが2016年、Narendra Modi首相の経済・市場改革に向けた取り組みの一環として、外国直接投資(FDI)の要件が緩和された。これにより、商品がインド国内で生産、加工されたものなら、外国企業が食料品を消費者に直接販売することが可能になった。

 Amazon.comにとっては、食料品という商材を使い、初めて同国で外部企業を通すことなく自ら商品を販売できるという道が開かれた。これを受け、同社はインド当局に事業認可の申請を行った。

 Wall Street Journalによると、インド当局者は、「Amazon.comの申請には何ら問題がなく、我々は5月中に認可する」と述べている。同紙によると、Amazon.comのインドにおける食料品ネット販売事業は、日本や米国などで行っている生鮮食品の会員制ネット販売「Amazon Fresh」に似たものになるという。

 なおインドでは、このほど外国投資の認可手続きが迅速化された。認可手続きはこれまで財務省管轄の外国投資促進委員会(FIPB)が行ってきたが、同委員会は6月5日付で廃止された。Wall Street Journalによると、同委員会はこれまで外国投資の申請を詳細に審査していたが、これが認可手続きの遅れにつながっていた。現在、小売業の外国投資に関する認可手続きは商工省が行っている。