日立製作所は2017年6月8日、投資家向け戦略説明会「Hitachi IR day 2017」を開催した。東原敏昭社長やサービス&プラットフォームビジネスユニットCEOの小島啓二専務が、同社のIoTプラットフォーム「Lumada」の戦略などに言及した。

 冒頭に、東原社長は「Lumadaを中核にして顧客との"共創"を進めていく。日立は課題を解決するだけでなく、課題を共有して保守・運用までエンド・ツー・エンドで提供する」と強調した。

日立製作所の東原敏昭社長
日立製作所の東原敏昭社長
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 さらに「製品、OT(制御技術)、ITをすべて持っている企業は世界中を見てもあまりなく、日立の強みである」と述べた。鉄道の例を挙げ、車両を提供するだけでなく、信号や運用管理などのOT、監視カメラで不審者を発見するなどのセキュリティ、人の流れを分析し最適なダイヤにつなげるITなども提供できるとした。

 一方課題として、海外の販売拠点が十分でないこと、顧客のイノベーションパートナーになるような人材の不足を挙げ、これらの強化に投資していくとする。

 「2016年度は基盤づくりができた。2017年度は成長に向けたギアチェンジをしていく」(東原社長)。

 小島専務はLumadaを活用した事業拡大戦略について説明した。「Lumadaは日立グループ全体のけん引役となる。全事業をLumadaの上に置き、顧客との"共創"を展開することを目指す」と強調した。

 Lumada事業の成長モデルについても言及。Lumadaは、個々の顧客にSIを提供することが中心の「Lumada SI事業」と、顧客との事例を汎用化したテンプレートを横展開していくことが中心の「Lumada コア事業」の2つの事業がある。

 「Lumada SI事業」をベースに顧客との事例を積み上げ、その中で横展開が可能なものを抽出、汎用化する。そのテンプレートを「Lumada コア事業」では新たな顧客や海外に展開していくことを目指す。さらに日立グループ内の「経営指標改善」に活用する。この3つを連動させることで、Lumada事業を拡大していくとする。

サービス&プラットフォームビジネスユニットCEOの小島啓二専務がLumadaの成長モデルを説明
サービス&プラットフォームビジネスユニットCEOの小島啓二専務がLumadaの成長モデルを説明
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 Lumadaは2016年度実績で9000億円の売り上げがあり、2018年度の目標として1兆500億円を掲げる。「Lumada SI事業」は2016年度(実績)は7800億円、2018年度(目標)は7600億円。「Lumada コア事業」は2016年度(実績)は1200億円、2018年度(目標)は2900億円だ。

 GEなどの競合と比較したLumadaの強みについて、「プラットフォームのみ顧客に提供するのではなく、顧客の持つアセットと組み合わせることで課題を解決するという点が特徴」(小島専務)と述べた。