ネット業界の経営者を中心とした招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2017 Spring Kobe」が、2017年6月6日に始まった。初開催から10年目となる今回、冒頭のセッションは「これからの10年」がテーマ。登壇者は、ディー・エヌ・エー執行役員の原田明典氏、投資家でThe Ryokan Tokyo 代表取締役CEOの千葉功太郎氏、アイ・マーキュリーキャピタル代表取締役社長の新和博氏、グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏、gumi代表取締役社長の國光宏尚氏である。

左から、スマートニュースの鈴木氏、ディー・エヌ・エーの原田氏、投資家の千葉氏、アイ・マーキュリーキャピタルの新氏、グリーの田中氏、gumiの國光氏  
左から、スマートニュースの鈴木氏、ディー・エヌ・エーの原田氏、投資家の千葉氏、アイ・マーキュリーキャピタルの新氏、グリーの田中氏、gumiの國光氏  
[画像のクリックで拡大表示]

 モデレータを務めた、スマートニュース代表取締役会長 共同CEOの鈴木健氏が「これからの10年」を象徴するものとしてたずねたのが「ポスト・スマートフォン(スマホ)のハードウエアとは何か」。

 國光氏は「メガネ型のMR(複合現実感)端末」を挙げた。情報を得たりコミュニケーションする際に、わざわざスマホ見るのが面倒だから、というのがその理由。「目とネットがつながるのは自然の流れだ」(國光氏)。同氏は、MR端末と、IoT(Internet of Things)で得られる大量のデータ、AIによる分析の3要素を組み合わせた「Web3.0の時代」を提唱している。端末の普及を推進するアプリケーションとしては「コミュニケーションとゲーム」だとした。

 原田氏は「ボイス・インタフェース」に注目するとした。その理由として、人のITリテラシーが、技術の進化についていけないことを挙げる。ITリテラシーがある人からすると発話操作が面倒と感じるが、操作を簡単にすることが普及する技術の本質とみているという。

 千葉氏は「ドローン」を挙げた。同氏は6月1日、日本におけるドローン(無人飛行体)関連事業の拡大を目指し、ドローン専用ファンドを立ち上げたばかりだ。千葉氏は「今後、完全自律飛行するドローンが大量に飛ぶようになると、エポック・メイキング(画期的)なことが起こる」とする。同氏は、有望な市場はBtoB領域だとし、具体的には農業、測量、検査に言及した。さらに、「24時間の航行が可能な技術の確立によって、ドローンは社会インフラになる」との見解を示した。

 新氏は、ハードウエアについて「保守的に考えている」として、現在のスマホの画面が大きくなり、360度撮影可能なカメラやVR(仮想現実感)コンテンツを楽しめるハードウエアが一緒になった端末を想定しているという。その根拠として、これまでも端末が進化したものの、ユーザーがやっていることは相変わらずコミュニケーションが主体であることを挙げる。ただし、コミュニケーションの質としてはテキストから動画になり、リアルタイム性が増すなど、リッチになる方向に向かうことを付け加えた。

 田中氏は、ハードウエアとは違うが「AI(人工知能)」に最も注目しているとする。きっかけは、世界チャンピオンの棋士とAIによる囲碁の対局。対局後に関係者が言ったとされる「AIの棋譜が理解できない」との発言に衝撃を受けたという。同氏は「経験を積んだ優秀な人が、長い年月をかけて意味がある、当たり前と思っていたことが覆された。同じようなことが、今後、ゲームや自動車など別の領域でもたくさん発見されて愕然とする可能性がある」と衝撃を受けた理由を語った。

■変更履歴
当初、イベント名を「Infinity Ventures Summit 2017」としておりましたが、正しくは「Infinity Ventures Summit 2017 Spring Kobe」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/06/07 17:30]