「新しいデータ分析基盤の構築は、ドコモの中期戦略の実現に向けて非常に重要なスタートだ」。2017年6月6日、NTTドコモの長谷川卓 情報システム部長は「SAP IT Leaders Summit」での基調講演で、インメモリーデータベースを使ったデータ分析基盤を構築した狙いを語った。顧客データを一元的に管理し、即時にデータを分析することで、顧客サービスの向上に役立てるという。

NTTドコモの長谷川卓 情報システム部長
NTTドコモの長谷川卓 情報システム部長
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 新たに構築したデータ分析基盤は、インメモリーデータベースとして「SAP HANA」を採用。2017年3月に稼働を開始させた。ドコモの基幹系システムである顧客管理システム「ALADIN」、料金システム「MoBills」のデータを分析する。

 NTTデータが2016年8月より8カ月かけてシステムを構築した。大容量データを高速で分析可能になったという。それに加え、既存のBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールを組み合わせて、ドコモの全社員がHANA上のデータに容易にアクセスできるようにする。代理店営業のほか、法人営業やマーケティング部門などがすでに活用している。

 例えば代理店営業の分野では、ドコモの営業担当者とドコモショップの店長が、直近の顧客データの分析結果に基づいて、販売目標KPIや店舗評価などを検討することができる。店舗における「いつ」「どのスタッフが」「どのお客さんに」「何を販売したか」などの情報を一元的に管理し、店舗の状況を可視化。弱点の強化などに役立てる。

 「ドコモはほとんどの販売を代理店に任せているため、販売店の売り上げを底上げすることは重要」と長谷川部長は述べる。

 ドコモはこれまでもデータ分析をしていたが、課題を抱えていた。データモデル開発に3~6カ月を要していたためデータが欲しい時に分析できなかったり、見たいデータが頻繁に変わるため現場の要望へ迅速に対応できなかったりした。SAP HANAの導入により大容量データを高速で分析して、必要なデータをリアルタイムで活用できるようにした。

SAP HANA導入で解決した点
SAP HANA導入で解決した点
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 今後は、顧客とのあらゆる接点で情報を集め分析するという。同社の提供するdTVやdアニメストア、dショッピングなどのサービスにおける顧客データなども一元管理する予定だ。

 「データ分析の時代からデータ活用の時代へ大きく変わってきていると実感している」と長谷川部長は述べた。