インターネット企業などから成る団体セーファーインターネット協会(SIA)は2017年6月6日、ネット上の違法・有害情報対策の2016年実績を公開した。SIAが通報を受けた児童ポルノやリベンジポルノの9割以上を削除できたという。SIAは2016年4月、違法・有害情報の受付窓口を二つに拡大。今回、両者の活動実績を初めてとりまとめた。今後は活動の知名度を高めるとともに、関連機関との連携を強化する。

 SIAは2013年設立の一般社団法人。ヤフー、アルプス システム インテグレーション、ピットクルー、ミクシィ、サイバーエージェントなど10社の会員企業から成る。主な活動はWebサイトに掲載された違法な情報や有害な情報に関する削除要請の受け付け、掲載元サイトへの削除要請、警察への通報などだ。2013年の設立時点から開設している通報受付窓口に加えて、2016年4月には警察庁からも窓口運営を受託している。

SIAが受け付けた違法・有害情報の内訳
SIAが受け付けた違法・有害情報の内訳
(出所:SIA)
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 2016年に通報などで寄せられた、違法とみられる情報の件数は30万件。このうち、実際に違法または有害な情報に該当したのは5万件だった。

 内訳は、わいせつ画像が6割で最多。児童ポルノが33%で続いた。過去の恋人への腹いせに私的な写真を投稿するリベンジポルノは2%だった。

 SIAは「個人に重大な被害を及ぼしかねない児童ポルノとリベンジポルノに重点的に対処している」(吉川徳明事務局長)。両者に対しては発見次第、サイト運営者に連絡して削除を要請している。削除要請した案件のうち、児童ポルノは97%、リベンジポルノは91%を削除できているという。

 SIAが受け付ける違法・有害情報の件数はここ数年、横ばい状態が続く。今後は対策の実効性を高めるため、同様の相談を受け付ける他の団体や組織との連携を強化する。「リベンジポルノなどの相談は東京都やNPO(非営利組織)など様々な機関が受け付けているが、ネット上の削除ノウハウを持たないことが多い。相談を抱え込んで困っている状況にある」(同)。2016年2月に設けた各団体との実務者連携会議を通じて削除ノウハウを共有したり削除要請を肩代わりしたりして、「被害者からの相談が目詰まりしている状態を解消していく」(同)。