富士通は2017年6月6日、経営方針説明会を開いた。田中達也社長が2015年10月に明らかにした経営方針の進捗と2017年度以降の成長戦略を説明。人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用して、顧客の事業を強化するIT投資の需要を取り込み、連結の営業利益率10%以上などの業績目標を達成したい考えだ。

富士通の田中達也社長
富士通の田中達也社長
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 「2017年度中に改革を5合目まで進めたい」。説明会に登壇した田中社長はこう目標を話した。田中社長はSIが中心の「テクノロジーソリューション」セグメントに経営資源を集中する方針を打ち出している。2015年度と2016年度に、拠点や組織を再編する費用である「ビジネスモデル変革費用」、計800億円以上投じた。再編の対象は国内ネットワーク事業、PC事業やスマホ事業、欧州のPCサーバー工場などだ。

 田中社長は在任中の連結業績目標として営業利益率10%以上、海外売上高比率50%以上などを掲げている。2017年度は連結の営業利益率4.5%を計画しており、田中社長は「ビジネスモデル変革の効果は着実に出てきている」と説明する。2016年度は2.9%だった。

 一方、海外売上高比率は2017年度に35%以上を計画しており、2016年度の37%から減少する見通しだ。富士通テンを連結対象から外した影響が大きいという。

 富士通は田中社長が掲げる経営方針に基づいた連結業績目標を達成するため、AIやIoTなどで顧客の事業を支援する「デジタルサービス」を成長させる考え。田中社長は「IT部門だけでなく事業部門からのIT投資の需要も強くなっている」と説明する。

 田中社長は2016年10月、デジタルサービス事業へと海外人員を重点配分する考えを示していた。同事業を担う人員を欧州で1200人増やし、従来の運用・保守アウトソーシングなどを担ってきた人員を約3300人削減するといったものだ。こうした施策は「ほぼ完了している」(田中社長)。

 説明会では中国レノボ・グループとのPC事業の統合についての質問が相次いだが、具体的な提携時期などについては明らかにしなかった。田中社長は「早晩まとまるだろう。できるだけはやくまとめたい」と述べるにとどめた。