米AT&Tは2017年6月2日(米国時間)、米Brocade Communications Systemsからネットワークソフトウエア「Vyatta」の資産などを買収すると発表した。AT&Tが推進する「ネットワーク仮想化」の取り組みを加速するのが狙いだ。買収は2017年夏に完了する予定。

 ネットワーク機器メーカーのBrocadeは2012年11月に、オープンソースのソフトウエアルーターである「Vyatta」の開発元である米Vyattaを買収した後、VyattaをBrocadeのネットワークソフトウエアのブランドとして使用していた。AT&Tが今回Brocadeから買収するソフトウエア資産の中には、仮想ルーター(vRouter)ソフトやNFV(Network Functions Virtualization)を実現するための各種ソフトが含まれる。またVyattaの開発者もAT&Tに移籍する。

 AT&Tは現在、同社の通信インフラストラクチャーにおけるネットワーク仮想化を進めている。大手ネットワーク機器メーカーの製品に依存する従来の通信インフラを、オープンなハードウエア仕様のネットワークスイッチ「ホワイト・ボックス・スイッチ」とNFVの組み合わせによるSDN(Software Defined Network)へと移行するもので、2020年までにAT&Tのネットワークの75%を仮想化することを目標に掲げている。こうしたネットワーク仮想化を加速するために、Vyattaのソフトウエア資産や開発者を獲得した。

 Brocadeは2016年11月に、シンガポールに本社を置く半導体メーカーのBroadcom(シンガポールのAvago Technologiesが2015年5月に米Broadcomを買収後に社名変更) によって買収され、同社の子会社となった。Broadcomの半導体の顧客であるネットワーク機器メーカーとBrocadeが競合関係にあることから、Brocadeの事業が相次ぎ売却されている。Brocadeのデータセンター事業は2017年3月に米Extreme Networksに売却することが発表され、今回、Brocadeのソフトウエア資産をAT&Tに売却することが発表された。