米IDCが現地時間2017年6月1日に公表したVR(仮想現実)とAR(拡張現実)のヘッドセット市場に関するリポートによると、同年第1四半期(1~3月)の世界出荷台数は228万台となり、前年同期から約70%増加した。この市場は勢いを増しているという。2017年後半は数多くの新製品が登場することから、同年の年間出荷台数は3桁成長するとIDCは見ている。

 ただ、VR/ARヘッドセットの市場は現在のところ、VR製品がほぼすべてといった状況。2017年第1四半期におけるVRヘッドセットの出荷台数は224万台で、全体の98%を占めた。

 また、VRヘッドセットのうち3分の2が、韓国Samsung Electronicsの「Gear VR」や、米Googleの「Daydream View」など、スマートフォンを組み込み、その画面をディスプレーとして使う「スクリーンレス・ビューワー」となっている。

 残りの3分の1は、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PlayStation VR」や、台湾HTC(宏達国際電子)の「HTC Vive」、米Facebook傘下Oculus VRの「Oculus Rift」といった、パソコンやゲーム機などと接続して使う「テザードVRヘッドセット」である。

 IDCによると、VR市場は成長の初期段階で、消費者はまだ機器の購入に慎重な姿勢。コンテンツの拡充やクロスプラットフォーム対応といったことが課題になっているという。

 一方、ARヘッドセットの2017年第1四半期における出荷台数は3万8400万台で、前年同期から77.4%増加した。こちらも成長の初期段階で、現在メーカーは開発者の手元に製品を届けることに注力している。一般の消費者についてはもうしばらく、スマートフォンやタブレット端末で利用できるアプリで、ARを初めて体験するといった状況が続くと、IDCのアナリストは述べている。

 2017年第1四半期のVR/ARヘッドセット世界出荷台数をメーカー別に見ると、Samsungが48万9500台で首位となり、このあとソニーの42万9000台、HTCの19万900台、Facebook(Oculus VR)の9万9300台、中国TCL Communication Technology(TCL通訊科技)の9万1300台と続いた。

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