日本マイクロソフトは2017年6月1日、クラウドサービス「Microsoft Azure」に関する機能拡張を発表した。欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)製品や大規模データベースなど企業の基幹業務システム向けに、大容量メモリーを搭載した仮想マシンインスタンスとベアメタル(物理サーバー)サービスを、2017年12月末までに提供開始する。

Azureの機能拡張について説明する米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデント(Microsoft Azure担当)のジェイソン・ザンダー氏
Azureの機能拡張について説明する米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデント(Microsoft Azure担当)のジェイソン・ザンダー氏
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 新たに加える仮想マシンインスタンスの「Mシリーズ」は、最大3.8TBのメモリーと最大128コアのCPUを搭載する。日本マイクロソフトは2017年1月に、最大0.5TBのメモリーを備えた仮想マシンインスタンスである「Gシリーズ」を、東日本リージョン(広域データセンター群)で提供開始している。

 米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデント(Microsoft Azure担当)のジェイソン・ザンダー氏は、「GシリーズがSAP HANA(SAPのインメモリーデータベース)の開発、テスト用途に向くのに対し、Mシリーズは本番環境に適している」と話す。Mシリーズは東日本に加え西日本リージョンでも2017年内に提供開始する。

 Mシリーズよりも高性能なベアメタルサービスとして、「SAP HANA on Azure(Large Instances)」も追加する。米国の一部リージョンでは既に利用可能で、東日本および西日本リージョンでも2017年中に使えるようになる。

 Large InstancesはSAP HANA向けにSAPが定めるハードウエアを使い、性能、可用性に関する要件仕様を満たすことを示す「SAP TDI(テーラードデータセンター統合)」認定を受けている。OLTP(オンライントランザクション処理)向けには単一ノードで最大20TBのメモリー、OLAP(オンライン分析処理)向けには複数ノードによる分散処理構成で最大60TBのメモリーを利用できる。

 課金体系はG、Mシリーズが分単位で、Large Instancesは「年間単位の契約になる」(ザンダー氏)。可用性に関するSLA(サービスレベルアグリーメント)は、G、Mシリーズが99.95%なのに対し、Large Instancesは99.99%を実現している。

G、MシリーズとLarge Instancesの主なラインアップ
G、MシリーズとLarge Instancesの主なラインアップ
(出所:日本マイクロソフト)
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 日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長の佐藤久氏は、Gシリーズの投入から約半年で「既に20社以上の顧客に対し、SAP製品のAzure上での稼働を支援している」と語る。Azure上でのSAP製品の採用、導入については、「MシリーズとLarge Instancesの投入により、2017年1月に掲げていた今後3年間で250社という目標値を400社に上方修正する」(同氏)とした。