レノボ・ジャパンは2017年5月30日、米国のセキュリティ企業・OPSWATのソフトウエア「OPSWAT Metadefender」と自社サーバーを組み合わせたセキュリティ製品を販売開始すると発表した。

 OPSWAT Metadefenderは、トレンドマイクロやESETなどが提供する、30以上のウイルスパターンエンジンを組み合わせて活用するマルウエア検知機能をはじめ、無害化機能や脆弱性検知機能を備えたソフトウエア。レノボ・ジャパンは、自社のハードウエアと同ソフトウエアを組み合わせ、セキュリティ市場に本格参入する。最小構成価格は、1種類のウイルスパターンエンジンと1コアライセンスの1年間サブスクリプションに、24時間のテクニカルサポートを付帯して42万円(税別)から。

 記者発表会の冒頭、レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業 ソリューション営業本部 本部長の橘 一徳氏は、データセンターソリューションの事業戦略について方向性を示した。橘氏によると、顧客企業がITシステムの導入を考えるときに重視するポイントとして、ITサービスが自社にもたらすメリットのほかに、「クラウドかオンプレミスかといった選択、アプリケーションやミドルウエアの選定、そしてハードウエアがある」という。

レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業 ソリューション営業本部 本部長 橘 一徳氏
レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業 ソリューション営業本部 本部長 橘 一徳氏
(撮影:下玉利 尚明、以下、同じ)
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 続けて、「レノボ・ジャパンではハードからソリューションへの移行の中、ミドルウエア層ではNutanixとサーバーを組み合わせたハイパーコンパージドインフラストラクチャーを提供し、クラウドのソリューションでは今秋からマイクロソフトのAzure Stackとサーバーを組み合わせて提供開始する」(橘氏)と説明。「OPSWAT Metadefenderをサーバーと組み合わせて展開することでアプリケーション層のソリューションの拡充を図る」(橘氏)と同社における位置付けを明確にした。

 次に登壇したレノボ・ジャパン データセンターソリューション事業本部 ソリューション営業本部 ソリューション&製品技術部 レノボ・サーバー・エバンジェリストの早川 哲郎氏は、OPSWAT Metadefenderの詳細を説明した。

レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業本部 ソリューション営業本部 ソリューション&製品技術部 レノボ・サーバー・エバンジェリスト 早川 哲郎氏
レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業本部 ソリューション営業本部 ソリューション&製品技術部 レノボ・サーバー・エバンジェリスト 早川 哲郎氏
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 早川氏は、OPSWAT Metadefenderの機能について、「世界で販売されているウイルスパターンエンジンを組み合わせて使うことで検出率を向上させ、未知のマルウエア検知にかかる時間を短縮している」と解説した。さらに無害化の機能では、例えば画像ファイルにマクロスクリプトが埋め込まれている場合、「性悪説に立って」(早川氏)ファイルを分解し、リスクのあるスクリプトだけを駆除してファイルを再構成し、無害になった状態でネットワークに戻すことができるという。

 これにより「業務影響を最小限にし、ゼロデイ攻撃、標的型攻撃のリスクの低減に効果が期待できる」(早川氏)と語った。さらに、脆弱性検知の機能に触れ、「アメリカ国立標準技術研究所(NIST)の共通脆弱性識別子(CVE)により250のアプリケーション、1万5000のバージョンの脆弱性を検知できる」と優位性を示した。

 複数のウイルスパターンエンジンを組み合わせて活用するマルチマルウエア検索エンジンのメリットについては、「米OPSWATの調査では、4エンジンを組み合わせた利用でのマルウエア検出率が90.93%だったのに対し、30エンジンを組み合わせた場合、99.88%に達した」(早川氏)と説明。未知の攻撃の検出時間についても「4エンジンでは4日と1時間58分かかっているが、30エンジンではわずか10分だった」(早川氏)とマルチエンジンでの効果を強調した。

青色が検出率を示している。早川氏によれば「8エンジン以上を組み合わせるのが効果的」という
青色が検出率を示している。早川氏によれば「8エンジン以上を組み合わせるのが効果的」という
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