A10ネットワークスは2017年5月29日、クラウド上で動くソフトウエア型の負荷分散装置「Lightning ADC」を発表、同日提供を開始した。主要なパブリッククラウドサービスやVMwareの仮想環境上で稼働。Webブラウザーから利用できる管理画面を使い、負荷分散装置のインスタンスを動的に配備したり管理・可視化したりできる。

クラウド環境で動作する仮想サーバー型の負荷分散装置「Lightning ADC」と、Lightning ADCを集中管理するSaaS型の管理コンソール「Harmony Controller」で構成する
クラウド環境で動作する仮想サーバー型の負荷分散装置「Lightning ADC」と、Lightning ADCを集中管理するSaaS型の管理コンソール「Harmony Controller」で構成する
(出所:A10ネットワークス)
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 同日に提供をはじめたSaaS型の管理コンソール「Harmony Controller」を使ってLightning ADCを集中管理できる。セキュリティ機能としてDDoS対策機能とWAF(Webアプリケーションファイアウオール)機能を備える。

 1年間または3年間の契約で、負荷分散の対象となるFQDN(アクセス時のホスト名)単位で、サブスクリプション(購読)型で課金する。ライセンスはWAF機能なしの「Basic」とWAF機能ありの「Pro」に分かれる。

 管理コンソールであるHarmony Controllerの機能は大きく三つある。あらかじめ各社のパブリッククラウドの認証情報を登録しておくことによって、管理者に代わってパブリッククラウドサービスを操作し、パブリッククラウド上にLightning ADCをプロビジョニング(配備)できる。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform、VMware環境などに配備できる。

 第二の機能がLightning ADCの設定管理だ。画面上で設定した内容を動的に反映できる。第三はLightning ADCの稼働ログを1分間隔で収集してトラフィックを分析する機能。アプリケーション単位で可視化する、といった分析が可能だ。

Lightning ADCからトラフィックデータを収集することによって、Harmony Controller上でアプリケーションの利用状況を可視化できる
Lightning ADCからトラフィックデータを収集することによって、Harmony Controller上でアプリケーションの利用状況を可視化できる
(出所:A10ネットワークス)
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今後は既存のハードウエアアプライアンスも管理可能に

 今後はHarmony Controllerの管理画面からLightning ADC以外の既存製品も管理できるようにする。Thunder ADCのトラフィック監視を皮切りに、管理できる製品や管理機能を増やしていく。オープンソースの負荷分散装置「HAProxy」も管理できるようにするという。SaaSだけでなくオンプレミスで動作するソフトウエア型の管理画面も提供する予定。

 同社はThunderシリーズと呼ぶハードウエア製品群を提供している。Thunder ADC(負荷分散装置)、Thunder TPS(DDoS防御の専用装置)、Thunder CGN(キャリア向けに提供するNAT装置)、Thunder SSLi(SSL通信の可視化装置)、Thunder CFW(ファイアウォール)などがある。vThunderと呼ぶ仮想アプライアンスも提供している。

 Thunderシリーズのハードウエアの特徴は、性能を重視していること。スイッチ処理を専用ASIC(特定用途向けIC)で実行し、上位の機能を汎用CPUのSMP(対称型マルチプロセッシング)構成で実行する仕組み。

A10ネットワークス ビジネス開発本部マーケティング部部長兼エバンジェリストの高木真吾氏
A10ネットワークス ビジネス開発本部マーケティング部部長兼エバンジェリストの高木真吾氏
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