米Googleは現地時間2017年5月27日、同社傘下の英DeepMindが開発した人工知能(AI)システム「AlphaGo」の“引退”を発表した。AlphaGoは同日、世界最強とされる中国のKe Jie(柯潔)棋士との3局目を制し、勝利を収めた。

Credit: Google
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 中国浙江省の烏鎮で5月23日から開催された囲碁のイベント「The Future of Go Summit」では、Jie棋士とAlphaGoの3番勝負が行われ、AlphaGoが3戦全勝した。

 DeepMindは、「囲碁の発祥地であるこの国で行われた、世界トップ棋士による一連の素晴らしい対局は、AlphaGoが対戦プログラムとして挑める最高峰だった。そのため、このイベントがAlphaGoにとって最後の対局となる」と述べた。

 AlphaGoは、ディープラーニング(深層学習)の技術を利用し、盤上の石の配置などの情報に基づいて、ニューラルネットワークによって次に打つべき手を判断する。2015年10月に欧州チャンピオン棋士に5戦全勝し、2016年3月に行われた韓国のプロ棋士Lee Sedol氏との5番勝負を4勝1敗で制した。

 AlphaGoの研究チームは今後、次の大きな課題に向けて注力するという。「いつの日か極めて複雑な問題に取り組む科学者の助けとなる高度な汎用アルゴリズムの開発に取り組む」とし、新たな治療法の発見や劇的なエネルギー削減、あるいは画期的な新素材の発明などにつながることへの期待を見せた。

 同研究チームは、年内にAlphaGoの学術論文を発表する。同論文では、AlphaGoに加えたアルゴリズムの効率改善と、様々な問題に幅広く対応する潜在性について詳細に説明する。

 また、今回のイベントを通じて要望の多かった学習ツールの開発も進める。AlphaGoがどのように盤上の状況を分析し、どのように思考するか、プロ棋士や囲碁愛好者が分かるようにする。

 さらに、Sedol棋士との対局以降実施してきた数百万局にのぼるAlphaGo対AlphaGoの強化トレーニングの中から、50局の棋譜を公開する。すでに10局が閲覧可能になっており、毎日10局ずつ追加する。

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