NTTデータは2017年5月26日、同社の人工知能(AI)サービスに関する説明会を開催した。説明に立った技術開発本部エボリューショナルITセンタAIソリューション開発担当の樋口晋也課長は、AI導入を検討する顧客企業のうち「費用対効果が出るとして実証に取り組むのは2割弱」と明かし、AI導入の難しさや成功するための秘訣を話した。

NTTデータの樋口課長
NTTデータの樋口課長
[画像のクリックで拡大表示]

 NTTデータには年間で約200社がAIに関する問い合わせを寄せるという。うち4分の3はAIの単純な問い合わせで事業化の議論に至らず、残りの50社がAI導入に向けた検討を開始する。

 50社のうち、投資対効果が見合って実証に進む企業は「10~15%」(樋口課長)という。200社が問い合わせて5~7社しかAI導入の実証に至らない背景を樋口課長は、「顧客企業の求めるサービスがAIを使わなくても実現できるという単純なケースから、顧客企業が学習データを十分に保有していないケース、実用化しても投資対効果が見込めないケースなどがある」とした。

 AI導入で失敗しないようにする基本は、「達成したいAIの正答率や開発の終了条件を顧客企業と事前に決めること」(同)。NTTデータはグループ企業と協力して、AIを利用するかしないかといった点も含めて顧客企業と議論を重ねるとした。投資対効果の議論や製品仕様は、システム開発の現場でしか判断できない場合も多く、「達成条件を明確にするチェックリストを策定し、導入したのが役立っている」(同)という。