NECは2017年5月23日、耳穴に装着するだけで個人認証を行い、顔の向き・姿勢・移動情報などを常時検出できるイヤホン型端末「ヒアラブルデバイス」の実証実験用プロトタイプを開発したと発表した。今後、サービス事業者やデバイスメーカーと共同で実証実験を行い、同デバイスを活用した新たなコンピューティングスタイルを提案していく。

機器の外観
機器の外観
(出所:NEC)
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 今回開発したヒアラブルデバイスは、独自の耳音響認証技術を実装。加速度・ジャイロ・地磁気の各センサーから構成されるモーションセンサーを搭載し、地下街なビルの中などGPS信号の届きにくい屋内でも位置を推定できる。手首や首などに装着するウエアラブルデバイスと比べて、頭部・外耳道という揺れやノイズの少ない安定した位置から、顔の向きや姿勢の変化、活動状態(歩いている、走っているなど)などを取得できる。

 ヒアラブルデバイスを活用することで、生活や仕事におけるさまざまな活動を妨げずにサービスの利用が可能になる。例えば画面注視が思わぬけがや事故につながる「歩きスマホ」の対策にも貢献する。将来的には音響AR(拡張現実)技術による音声ナビゲーション、BLE(Bluetooth Low Energy)によるスマートフォンなどとの接続やインターネット上のクラウドとの連携、バイタルセンシング技術による脈波などの生体情報の収集なども想定する。

 同社は、2018年度のヒアラブルプラットフォームサービス事業化を目指し、サービス事業者やデバイスメーカーなどと共同で実証実験を推進する。また、システム構築事業者には耳音響認証技術や屋内位置測位技術のAPIの公開や地磁気の事前調査を行うほか、デバイスメーカーには同プロトタイプの設計書などを提供する。また、5Gや他のIoTプラットフォームサービスとの連携による新たなソリューションの創出を目指す。

 ヒアラブルデバイス向けの取り組みについては、東京ビッグサイトで5月24~26日に開催される「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017」および幕張メッセで6月7~9日に開催される「Interop Tokyo 2017」にて、同デバイスを活用したデモンストレーションを行う。

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