NTT西日本は2017年5月23日、LPWAネットワークの事業開発の一環として、LoRaWANにおいて「クラスB」に対応した環境を日本で初めて構築し、実証実験においてクラスBの実現性を確認したと発表した。

 従来、LoRaWANの通信においては、端末やセンサーなどからサーバーへのアップリンク(クラスA通信)が一般的だった。今回、NTT西日本が環境を構築したクラスBは、サーバー側から端末やセンサーへのダウンリンクの通信が可能になる。

図1●LoRaWAN通信方式におけるクラスAとクラスB
図1●LoRaWAN通信方式におけるクラスAとクラスB
(出所:NTT西日本、以下同)
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 実証実験は、沖電気工業および大阪ガスと組み、実フィールドで、テスト用ガスメーターをLoRaWAN(クラスB)に接続した際の遠隔制御の検証を実施した。模擬検針情報収集システムから複数のテスト用ガスメーターをクラスB通信で遠隔制御し、検針データを収集した。その際に、システム遅延や通信成功率を検証し、実用化できるレベルであることを確認したという。

図2●実証実験の概要
図2●実証実験の概要
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 NTT西日本は、2016年6月から「LPWAネットワークを活用したフィールドトライアル」を開始し、パートナーと組んでLPWAネットワークの活用シーン創出に取り組んできた。その際に、多くのパートナーから、サーバーから端末への通信(クラスB)に対応してほしいという要望があったという。

 一例として、メーターの自動検針や保安を実施している業界を挙げる。遠隔からの検針や、地震発生といった災害時における各メーターの開閉状態の確認など、センター側から端末に遠隔かつ省電力で指示したいという要望があり、その実現のためにLoRaWANにおけるクラスBの環境が必須だった。

図3●利用シーンの例(災害時の対応)
図3●利用シーンの例(災害時の対応)
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 NTT西日本では、この実証実験で得られたクラスBに関するノウハウをもとに、メーターの監視を実施しているガス・水道など多くの業界に幅広く提案していく。

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