日本テラデータは2017年5月23日、データウエアハウス(DWH)向けデータベース管理ソフト「Teradata データベース」に、新しいソフトウエアライセンス制度を導入すると発表した。

 「社内にあるTeradataデータベースを含む分析システムを、クラウドへ移す」など、Teradataデータベースをハイブリッド・クラウド環境内に移行する際に、ソフトウエアライセンスを追加費用なしで利用し続けられるようにした。日本テラデータの吉川幸彦代表取締役社長は「利用形態に応じて、利用する期間もお客様が選べるようにもしている」と説明する。

写真●Teradataデータベースの新しいライセンス体系を発表する日本テラデータの吉川幸彦代表取締役社長。同社主催のイベント「TERADATA UNIVERSE」の会場で記者会見が開かれた
写真●Teradataデータベースの新しいライセンス体系を発表する日本テラデータの吉川幸彦代表取締役社長。同社主催のイベント「TERADATA UNIVERSE」の会場で記者会見が開かれた
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 今回発表した、Teradataデータベースのソフトウエアライセンス制度は、四つのグレードに分かれている。具体的には、開発、テスト環境向けで無償の「Developer」、小規模なDWH向けの「Base」、同時実行処理ができる規模の大きいDWH向けの「Advanced」、Advancedと同じく大規模DWH向けで、システムのパフォーマンス管理機能が広く使える「Enterprise」がある。

 利用できるクラウドは、DeveloperがAWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureといったパブリック・クラウド環境か、VMwareベースのプライベート・クラウド環境。その他のグレードでは、テラデータが提供するDWHクラウドサービス「IntelliCloud」に移行しても利用できるようにする。

 同社ではこれまで、IntelliCloudや、AWSやMicrosoft Azure向けのTeradataデータベースを提供して、オンプレミスのDWHだけでなく、クラウドでも利用できるよう、Teradataデータベースの製品やサービスを拡充。これらの異なる環境で稼働するDWHを統合管理する仕組みも整えてきた。

 そのなかで、「オンプレミスのDWHシステムを、クラウドに移行して活用したいというニーズが、Teradataデータベースを利用するお客様企業から出てきた。そのニーズに対応するため、新しいライセンス体系の提供を開始した」と吉川社長は説明する。

 ただし、日本では当初、Base、Advancedは、オンプレミス環境だけで提供を始める。クラウドでの利用は、提供開始が決まり次第、公表していくという。ライセンスも期限付きでの提供になる。

 新しいライセンス体系の提供は、米テラデータが同日、発表した新事業戦略に基づくものだ。米テラデータのピーター・ミケルセンインターナショナル担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「企業でデータ分析をビジネスで活用しようとする場合、クラウドとオンプレミスの両方で使えるようにしたり、クラウドとオンプレミスの間でDWHシステムのデータを柔軟に行き来できるようにしたりする“ハイブリッド・クラウド”に対するニーズが高まっている」と話す。

写真●新事業戦略を説明する米テラデータのピーター・ミケルセンインターナショナル担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント
写真●新事業戦略を説明する米テラデータのピーター・ミケルセンインターナショナル担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント
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 企業の業務部門の担当者がデータ活用のアイデアを思い付いた場合、AWSなどのパブリック・クラウドを使えば、小規模なDWHシステムをすぐに立ち上げて分析に取り掛かれる。その分析がビジネスにプラスだと分かり、データ量を増やして本格活用する場合、オンプレミスに移行するなどの措置を講じることが多い。今回のライセンス体系の提供で、ハイブリッド・クラウド上でスムーズにシステムを移行できるよう顧客企業を支援する。

 新事業戦略にはこのほか、分析スキルを持つ要員の確保やビジネスの現場でデータ分析の普及を支援していく「ビジネス・アナリティクス」、オープンソースソフトを含めて分析プラットフォームを企業の分析ニーズに合わせて構築していく「エコシステムアーキテクチャ」が含まれている。

 「いずれも、お客様企業がデータ分析をビジネスに役立てようとするときに直面する課題だ。当社では、現場の業務を踏まえたデータ分析や、分析基盤に関するコンサルティングサービスも手掛けている。それを顧客企業の課題に応じて、体系的に提供していく」と、ミケルセンエグゼクティブ・バイス・プレジデントは強調した。