欧州委員会(EU)は長年にわたる米Googleの独占禁止法違反調査にいよいよ結論を出すようだと、英Reutersが現地時間2017年5月22日に報じた。Googleは莫大な制裁金の支払いを命じられる可能性がある。

 Reutersによると、EUの執行機関である欧州委員会(EC)のTommaso Vallettiチーフ・コンペティション・エコノミストは、英オックスフォード大学で同日開催された会議において、「数カ月以内に、Googleのインターネット検索、オンライン広告、そして私にとって最も関心のあるAndroidに関する案件で決断を下す」と述べたという。

 ECはGoogleが欧州競争法(欧州の独占禁止法)に違反した疑いがあるとして2010年に調査を開始した。

 2015年4月には、Googleが検索市場における独占的地位を乱用し、検索結果ページで自社の比較ショッピングサービス「Google Shopping」を競合ショッピングサイトより目立つように表示するなど優遇措置をとったと見て異議告知書(Statement of Objections)を送付。

 続いて2016年に、Androidと検索広告事業「AdSense」についても異議告知書を送った。ECの見解では、GoogleはAndroid端末メーカーに対して「Google Search」や「Chrome」を初期設定ツールとしてプリインストールするよう要請した。また、AdSenseを導入しているサードパーティーのWebサイトに対して競合の検索広告を表示することを制限したり、一定数以上のAdSense広告を最も目立つ位置に掲載するよう求めたりした。

 一方Googleは、同社の事業慣習が競争の活性化に貢献し、欧州の消費者により多くの選択肢をもたらしたと主張してきたが、ECを納得させるに至っていない(米Android Authorityの報道)。

 ECが最終的に独占禁止法違反を確認した場合に課す制裁金は年間総売上高の最大10%とされている。Googleの親会社、米Alphabetの決算発表資料によると、2016年おけるAlphabetの年間総売上高は約903億ドルで、そのうちGoogleは895億ドルを売り上げている。

 なおGoogleは先月、ロシアでAndroidに関する同様の訴訟で、独占禁止当局と和解している。