東京都は2017年5月22日、「ICT先進都市・東京のあり方懇談会」で取りまとめた提言を公表した。懇談会では、2020年のオリンピック・パラリンピックやその後を見据えて、東京都の今後とるべき政策方針や施策を検討。今後5年で、ICTを活用し行政サービスの向上やテレワークの導入による働き方改革に取り組む、とする。

 懇談会には構成員として小池百合子都知事や、ICT(情報通信技術)等のさまざまな分野の専門家が参加。5年後のICTを活用した東京都のあり方として、「ICTを活用し、都市機能を高め、東京の魅力が増大」「公共データと、民間の知恵と技術で、大都市東京の課題が解決」「ICTで生産性向上と新価値を創造するなど、東京・日本の経済が活性化」の3つを挙げた。

 提言では、具体例にも言及した。例えば、施設維持管理の目的で設置したセンサーをオープンにし、障害者や外国人の移動支援、災害対応等にも用いるなどだ。これにより、ICTを使うことで多様化するニーズに対応するとする。スマートフォンによって海外観光客に言語対応したり、目の不自由な人には音声で案内したり、車いすの人には段差のない経路を案内したりする。

 また、ICTを活用した都市インフラの維持管理や、都の職員をはじめとしたテレワークの導入による業務の効率化、IT投資に課題を持つ中小企業を支援することによる経済活性化なども目指す。

 提言の中でこれらに共通するキーワードとして示されたのは、「オープン」「データ」「住民参加」の3つ。「オープン」は、IoT(インターネット・オブ・シングス)基盤をさまざまな目的に活用することを指す。これによりコストを削減できる上、サービスの向上も図れるという。「データ」は、上記のIoT基盤により得られたデータに加え、行政・民間双方のデータを指す。「住民参加」は、行政の提供するIoT基盤やオープンなデータを基に、住民自らその活用法を考え実行していくこと、とする。

 「ICT先進都市・東京のあり方懇談会」は、2017年1月より4回開催されており、5月18日に開催された第4回が最終回。