パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は2017年5月22日、自動車販売店向けソフトを開発・販売する独インカディアと協業したと発表した。PBCは独インカディアが開発・販売する自動車販売店向けの業務支援ソフト「incadea.dms」に、日本市場向けの機能を付加し、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供する。提供開始は2017年10月の予定だ。

 incadea.dmsは、「自動車の販売店に必要な業務機能を一通り提供するのが強みだ」とPBCの吉島良平 取締役 戦略事業推進室室長は説明する。見込み顧客や商談履歴の管理、アフターサービスの提供といったCRM(顧客関係管理)機能のほか、下取り車の査定、自動車の販売管理といった機能も持つ。

写真●「incadea.dms」の画面例
写真●「incadea.dms」の画面例
(提供:パシフィックビジネスコンサルティング)
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 独インカディアでアジア・太平洋地域 マネージング・ディレクターを務めるリチャード・ハワード氏は、「ミレニアル世代などを中心に若い顧客は、オフラインではなく、オンラインで自動車を売買したいと考えている。ところが現状は、そうした要望に応える状況になっていない」と分析。

 incadea.dmsはオンライン販売をサポートする機能などを備え、「自動車の買われ方、売られ方を変革するソフト。日本でincadea.dmsを提供することで、日本の自動車販売の流れを変えていきたい」(ハワード氏)と強調した。

 PBCは日本市場向けとして、自動車税や車検、リサイクル法といった法規制のほか、消費税や手形管理といった日本の商習慣などへの対応機能を開発してincadea.dmsに追加する。「日本企業にヒアリングしながら日本独自の要件を洗い出している最中だ。実際にはかなりの要件があるだろう」と吉島室長は話す。

 incadea.dmsは、米Microsoftの中堅・中小企業向けERP(統合基幹業務システム)「Dynamics NAV」を基に開発されている。PBCは日本企業向けのDynamics NAVの導入や、Dynamics NAVの日本の商習慣対応や、日本語化などを手掛けている。「これまでのDynamics NAVの日本語化などの経験を生かせると判断し、incadea.dmsの提供を決めた」(吉島室長)という。

 incadea.dmsの利用料金は3ユーザーの場合、月額3万円からを想定している。導入費用は別途必要になる。incadea.dmsは欧州を中心に90カ国以上で、4000以上の自動車販売会社が導入しているという。PBCの吉島室長は「日本でも最初は、本国でincadea.dmsを導入している外資系の自動車販売店に売り込んでいきたい」と話す。