大日本印刷(DNP)は2017年5月19日、自治体への申請手続きを支援するシステムを開発したと発表した。対象とする自治体は、政令都市より規模が小さく20万人程度の、中核市規模の自治体。今秋にも販売を開始する予定。
DNPは3月にマイナンバーを使った申請書への一括入力システムを開発済み(写真1)。今回は複数の手続きにおけるナビゲーション機能を加えた。転居や出生などの際に必要となる煩雑な申請手続きを、効率的かつ正確に行えるようサポートする。住民と自治体職員両方の負担を軽減するのが狙いだ。
このシステムが支援する申請手続きは、出生、転入、転出、転居、結婚、離婚、死亡といった7つのライフイベントに対応するもの。ナビゲーション機能として、大きく分けて「手続きナビ」と「記入ナビ」の2つの機能がある。
「手続きナビ」は、申請者が自治体窓口のパソコンやタブレットなどで質問に答えていくと、自分に必要な書式が自動で選定される機能だ。例えば転居であれば、「子供がいるか」「何人で暮らしているか」などの質問に答えていくと、ユーザーの属性にあった書式が選定されるという。
出生、転入、転出、転居、結婚、離婚、死亡の7つのライフイベントについて、申請書の書式は150種程度あり、書式を選ぶのも難しい。このシステムでは質問に答えるだけで、自分に必要な書式が自動で選定される。
「記入ナビ」は、氏名や生年月日など、複数の様式で重複する記入項目を一括で入力できる機能だ。申請者の手間を減らし、記入漏れや記入ミスなどを防止することで、自治体の窓口職員の負荷も軽減する。マイナンバーを活用することも可能だ。マイナンバーカードをICカードリーダーにかざすと、通常なら複数の書式にまたがって記入する必要のある、氏名・住所・性別・生年月日の基本情報が、一括入力される(図1)。
立教大学と共同で、中核市規模の自治体を例に、届出や申請手続きフローの現状を調査・分析し、今回のシステムを開発した。DNPは「中核市規模の自治体は、ITベンダーの大規模システムを導入できる大都市と違って予算が少ない。本システムはPDFフォームを活用してコストを押さえているのが特徴だ」とする。