店頭マーケティング事業などを手掛けるマックス(東京・中央)は2017年6月、消費財メーカーなどに向けて、商品販売店に関するデータの活用支援サービスを開始する。

 店舗に関するデータには、POS(販売時点情報管理)情報や、店舗の位置情報、メーカーの営業担当者が店舗に営業した実績データなどがある。マックスは新サービスを通して、これらのデータを関連付けて、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールで多角的に分析できるよう、メーカーを支援する。

 店舗に関する複数のデータを関連付けてBIツールで分析すると、「POS情報から商品の売れ行きが好調な店舗を抽出できる。さらにそれらの店舗でどんな営業活動を実施したのかを、関連する営業活動の実績データから簡単に確かめられる」と、マックスでデータ分析事業を担当する、まとう(漢字では糸へんに果)慶太インストアソリューション部マネージャーは説明する。

異なる種類のデータを関連付けて一覧表示させたBIツールの画面例。消費財メーカーの担当者が店舗に関連するデータを組み合わせて活用できるよう、支援していく
異なる種類のデータを関連付けて一覧表示させたBIツールの画面例。消費財メーカーの担当者が店舗に関連するデータを組み合わせて活用できるよう、支援していく
(出所:マックス)
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 店舗に関するデータに位置情報を含めると、BIツールの地図データ上に店舗の位置を丸印などで表示できる。それにPOS情報を加えると、店舗を示す丸印の色を販売実績に応じて変化させられる。「地図上で指定した範囲内にある複数店舗の販売実績をBIツールですぐ把握できるようになる」と、木暮宜正営業本部フィールドマーケティンググループシニアエグゼクティブは話す。

店舗の位置情報とPOS情報を組み合わせた活用例。位置情報を基に、丸印で店舗の位置を表示させ、POS情報の販売実績を丸印の色分けで示すようにしている
店舗の位置情報とPOS情報を組み合わせた活用例。位置情報を基に、丸印で店舗の位置を表示させ、POS情報の販売実績を丸印の色分けで示すようにしている
(出所:マックス)
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 店舗データの活用支援サービスの一環として、マックスは2017年6月1日、小売店舗データ集である「流通データ店長」の提供を始める。全国にある流通小売店舗それぞれについて、店名や住所、電話番号、業態などのデータをリストアップする。このデータ集を消費財メーカーが持つ店舗に関するデータと関連付けて、多角的な分析ができるようにする。

 収録するのはドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターなど1200社以上の流通小売業が展開する全国の店舗データだ。店舗数は6万以上に上るという。

 マックスは店頭マーケティング事業で、消費財メーカーに代わって、商品知識を習得した業務委託スタッフ「フィールドマーチャンダイザー(FMD)」をスーパーやドラッグストアなどの店舗に派遣している。

 FMDは、担当するメーカーの担当者として、売り場に並ぶ商品を整理したり販促物を設置したりする。加えて、担当エリアで開店したり閉店したりした店舗もレポートする。「流通データ店長には、全国に1200人いるFMDからのレポートも反映。開店や閉店した店舗の情報も盛り込んでいる」と、木暮シニアエグゼクティブは話す。

マックスのまとう慶太インストアソリューション部マネージャー(左)と木暮宜正営業本部フィールドマーケティンググループシニアエグゼクティブ
マックスのまとう慶太インストアソリューション部マネージャー(左)と木暮宜正営業本部フィールドマーケティンググループシニアエグゼクティブ
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 支援サービスの料金は個別見積もりになるが、流通データ店長の価格は全件の場合で100万円。これに緯度や経度といった店舗の位置情報を加えたデータの価格は150万円。CSV形式のファイルをDVDなどに書き込んだうえで納品するという。

 マックスは数年前から、クリックテック・ジャパンのBIツール「QlikView」を導入し、POSデータや位置情報の活用を進めてきた。「店舗に関する様々なデータを組み合わせて分析に生かす取り組みを続けてきて、ノウハウが蓄積できた。新サービスで広く提供していきたい」と、まとうマネージャーは意気込みを語る。