LINEは2017年5月17日、コンピュータセキュリティなどを手掛ける米インタートラスト・テクノロジーズと共同で、セキュリティやプライバシーについてのカンファレンス「LINE and Intertrust Security Summit」を開催した。LINEのセキュリティへの取り組みや、パスワードが不要なオンライン認証関連技術の標準化団体である「FIDO(Fast Identity Online) Alliance」への加入を発表した。

LINEの中山剛志CISO(最高情報セキュリティ責任者)
LINEの中山剛志CISO(最高情報セキュリティ責任者)
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 LINEはチャットや通話などのコミュニケーションアプリに加えて、ゲームや漫画など公開するサービスのプラットフォーム、そして最近では法人向けのチャットボットやクラウドAI「Clova」などを提供している。「AI、IoTなど未来型のサービスではセキュリティは複雑になる。LINEもより高いレベルの安心安全が求められると認識している」とLINEのCISO(最高情報セキュリティ責任者)である中山剛志氏は力をこめる。

 これまで以上にセキュリティについては重要視して取り組んでいく、とする。加えて、「ユーザーや関係者に対して、安心・安全の取り組みをしっかり情報発信していくことも重要であると捉えている」(中山氏)。

米インタートラスト・テクノロジーズのタラハ・シャムーンCEO(最高経営責任者)
米インタートラスト・テクノロジーズのタラハ・シャムーンCEO(最高経営責任者)
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 米インタートラスト・テクノロジーズのタラハ・シャムーンCEO(最高経営責任者)は、セキュリティにおける安全性と使いやすさのバランスの重要性を述べた。「非常に堅牢で安全性が高すぎるシステムは、複雑すぎて誰も使わないし、ビジネスとして成り立たない。リスクをむやみに心配しすぎるのではなく、脆弱性を理解して正しい処置をすることが必要だ」と語る。

 またLINEは同日、生体情報などを用いるパスワードが不要なオンライン認証に関する技術仕様を標準化する非営利団体である「FIDO(Fast IDentity Online) Alliance」にボードメンバーとして加入することを発表した。「200社以上の企業とともに、新しい認証技術の開発に取り組む」(中山氏)。

 FIDO認証は「現行のパスワードの煩雑さやデータ漏洩などの課題を解決し、セキュリティと使い勝手を両立させていくことができる」と、NTTドコモ プロダクト部のプロダクトイノベーション担当部長の森山光一氏は述べた。NTTドコモは2015年5月よりFIDO Allianceに加入しており、森山氏はFIDO Japan WG座長を務める。