米Appleがかねて計画していた、iPhoneのインドにおける組み立て生産が始まったと、米Wall Street JournalインドEconomic Timesなどの海外メディアが現地時間2017年5月18日までに報じた。

 Appleの製造パートナーである台湾の電子機器製造受託業者、Wistron(緯創資通)が、インド・カルナータカ州の州都バンガロールで、廉価モデル「iPhone SE」の組立業務を専門に行う工場を準備していたが、このほどその試験操業が終わった。Economic Timesによると、今後この工場では月産2万5000~5万台体制でiPhone SEが組み立てられ、5月の第3週にも最初のインド産iPhoneが店頭に並ぶ可能性がある。

 Wall Street Journalによると、中国市場でiPhoneの販売が減速する中、Appleはインドにおける自社ブランド構築の新たな手法を模索しており、インド生産はその一環という。またiPhoneをインドで生産することで、その販売価格を引き下げられる可能性もあるという。

 インドでは現在、廉価モデルのiPhone SEが約320ドルで販売されているが、現地のスマートフォン平均販売価格は約150ドルで、iPhone SEは依然多くの人々にとって割高。ただ、いずれにしてもAppleはiPhoneの電子部品をインドに輸入しなければならず、部品関税を支払う必要がある。このためAppleはインド当局に税の軽減措置などを求めている。

 一方でインドでは、Narendra Modi首相が「Make in India(インド製造業の促進)」政策を進めており、インド政府はiPhoneのインド工場を歓迎しているという。ある政府関係者は、「AppleはインドにおけるiPhoneの製造を拡大する可能性がある」と話している。またインド商工相は、「Appleをインドに招くことは我が国の威信に関わること」と述べているという。