日本生命保険は2017年5月17日、野村総合研究所(NRI)、リクルートホールディングス(HD)と共同で健診や医療のビッグデータを使った健康増進サービスを始めると発表した。企業や団体、健康保険組合に向けて、ITを使って健康改善を支援するサービスを2018年4月に開始。サービスを通じて集めた健診などのデータを分析して、新たな保険商品の開発をはじめとする保険事業の強化を図る。

 新サービスの名称は「ニッセイ健康増進コンサルティングサービス」。日本生命が企業や団体との契約締結やサービス提供の窓口となる。具体的なサービスはNRI、リクルートHDのノウハウを使って共同開発する。

「ニッセイ健康増進コンサルティングサービス」の概要
「ニッセイ健康増進コンサルティングサービス」の概要
(出所:日本生命)
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 提供するサービスは大きく三つ。健保組合や共済組合向けには、健診データに基づいて各組合加入者の健康問題に関する現状把握から改善計画の策定、計画の実行、取り組みの評価を支援する。組合の加入者向けには、ネットやスマートフォンを活用して健康意識の向上や健康改善活動の取り組みを促すサービスを開発する。企業や団体に向けて、従業員のストレスチェックや労働生産性の向上といった健康経営を支援するサービスも提供する。

 日本生命は新サービスを通じて、健保組合の加入者や企業の従業員の健康に関するデータを収集。同データを分析・活用するための基盤システムである「ヘルスケアデータプラットフォーム」を構築する。同システムを使って、高度な保険事業や健康寿命を延ばすための新サービスを開発する。例えばより多くの範囲を保障する保険商品を開発したり、健診・医療データを組合などから直接受け取って手続きを簡素にしたりする。

 2020年度末までに500万人のデータ収集を目指す。同システムで集めたデータは日本生命グループのシステム会社であるニッセイ情報テクノロジーが管理する。

 生保や損保の事業自体をITで変革する取り組みは、保険(インシュアランス)と技術(テクノロジー)を組み合わせて「インシュアテック」とも呼ばれる。富国生命保険が日本IBMの「IBM Watson Explorer」を導入して査定業務の効率や精度を高めるなど、取り組みが広がりつつある。