富士通は、ユニロボットと共同で開発した対話ロボットを、2017年5月18日から開催する富士通フォーラム2017に参考出展する。富士通のAI「Zinrai」を活用している。音声による感情認識が可能で、より人間らしい会話ができることが特徴だ。

 主に自治体や企業の受付業務、家庭内での利用を想定しており、2017年10月をめどに販売を開始する予定。富士通は2020年度までに累計80億円をロボット分野に投資し、関連事業における同年度の売上目標を300億円としている。

対話ロボット。顔の部分は表情が変化し、タッチ画面にもなる
対話ロボット。顔の部分は表情が変化し、タッチ画面にもなる
[画像のクリックで拡大表示]

 ユニロボットが開発したロボット「ユニボ」をベースとした。特徴は、言語処理技術に加えて、ユーザーの感情を判断する点だ。音声から声のトーン、ピッチ、抑揚などを分析し、喜怒哀楽を類推する。「言語非依存なので、どの国の言語でも対応可能だ」とグローバルビジネス本部のサービスプラットフォーム戦略企画室ロボティクスサービス企画開発部の新井雅晴氏は述べる。感情推定により、「より人間に近いコミュニケーションが可能になる」(新井氏)。

 富士通フォーラムでは家庭内での使用シーンのデモを出展している。ユーザーの好みに合わせて献立を提案するなどを想定する。「はいかいいえで答えてね。ナポリタンとミートソースはどっちが好き?」など、簡単な質問にユーザーが答えると、ユーザーの好みを学習するという。

 将来的には冷蔵庫と通信し、中の食材を把握した上で献立を提案できるようにするという。「食材の把握は、画像認識を使うか、バーコード・ICタグ等を使うことを検討している」(富士通の担当者)。さらにエアコン等の家電製品やPCとの接続も可能になる。スマートフォンと連携し、ユーザーは外出先でも冷蔵庫内の食材や日用品の在庫、エアコンのオンオフなどを確認できる。

住宅での使用イメージ。家電の状況や日用品の在庫、冷蔵庫内の食材などを把握する。他の家電も通信できる想定。
住宅での使用イメージ。家電の状況や日用品の在庫、冷蔵庫内の食材などを把握する。他の家電も通信できる想定。
[画像のクリックで拡大表示]

 富士通は「ロボティクスサービス企画開発部」を2016年5月1日に設け、AIロボティクス分野の事業化をスタートした。ユニロボットとの協業は、同社のAI「Zinrai」の強化策の一つである。この対話ロボットの価格は、数十万円になる見込み。

■変更履歴
当初、今回富士通が開発した対話ロボットを「ユニボ」としていましたが、ユニボはユニロボットが開発したものでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/05/17 20:00]