東急バスとフジテレビ、仮想現実(VR)ベンチャーのVRize(東京都港区)の3社は2017年5月16日、走行中の観光バスの車内でVR映像を視聴する実証実験を共同で実施したと発表した。長時間の移動中の娯楽提供や目的地の紹介などで活用し、東急バスの観光バスの利用拡大につなげる考えだ。
実証実験は、東急バスのパートナー企業が5月10日に実施した社員旅行で実施。参加者は40代~60代の男性30人で、東京・渋谷から静岡県中部まで3時間半程度の移動中に1人あたり30分~1時間程度、韓国サムスン電子のゴーグル型VR端末「Gear VR」を装着してフジテレビ制作の映像作品を視聴した。
用意したVR映像はフジテレビの「FODVR」の3作品で、アイドル関連のバラエティ2作品と箱根の花火大会の映像。いずれも360度カメラで撮影したものだ。このほか、非3Dのトークショー番組1作品も提供した。
今回の実証実験では、車酔いに加えVR酔いが発生しないかも検証した。今回は「VR酔いが比較的少ないと考えられる、カメラを固定して撮影している作品を選んだ」(VRizeの中村拓哉COO)という。また、観光バスは2017年春に運航開始した24席仕様のプレミアム車両を使用した。
そうした工夫もあり、実験後のアンケートでは「酔わなかった」との回答が93%に上った。このほかVRを体験した感想として「また体験したい」「端末がほしくなった」との回答も計86%と高率だったとする。