日立製作所は2017年5月12日、2017年3月期通期(2016年4月~2017年3月)の連結決算を発表した。売上高は9兆1622億円(前年同期比8720億円減)、営業利益は5873億円(同475億円減)、営業利益率は6.4%(同0.1ポイント増)だった。

 減収減益の要因は為替変動と事業再編である。為替は売上高で4900億円の減収要因、営業利益で730億円の減益要因だった。日立物流や日立キャピタルの事業売却などの事業再編は、売上高で7090億円の減収要因、営業利益で550億円の減益要因になった。為替と事業再編の影響を除くと、売上高は前年同期比3%増、営業利益は13%増になる。

 日立は初めてIoT(インターネット・オブ・シングズ)のデータ活用基盤「Lumada(ルマーダ)」の業績を発表した。期中に提供を開始したLumadaに関連する2017年3月期の売上高は9000億円で、全体の約1割に及んだ。

 西山光秋代表執行役執行役専務CFO(最高財務責任者)は「Lumadaの利益率は既に全体平均(6.4%)より高い」と話した。Lumada事業は黒字化していて、全体業績の営業利益率の改善に貢献しているとした。

西山光秋執行役専務CFO
西山光秋執行役専務CFO
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 東原敏昭代表執行役執行役社長兼CEO(最高経営責任者)はLumadaの事業予測を「2018年3月期は投資段階だが、2019年3月期には利益を押し上げる」と話した。加えて2019年3月期までに「1兆円規模の企業買収をして、海外でLumada事業を拡大する」と話した。

東原敏昭執行役社長兼CEO
東原敏昭執行役社長兼CEO
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 2018年3月期通期の業績予想は減収増益で、売上高を9兆500億円(2017年3月期比1122億円減)、営業利益を6300億円(同426億円増)とした。日立工機や日立国際電気などを売却する事業再編で減収するが、事業の成長や収益率の改善で増益を予想した。