「これまで通りのSIビジネスを続けるだけでは、富士通はデジタルディスラプターに破壊されてしまう。お客様と共にデジタルビジネスを創出する“共創”を次の中核事業に成長させる必要がある」。富士通の宮田一雄執行役員常務は2017年5月11日、「共創サービス」強化の記者会見の場でこう語り、危機感をあらわにした。

写真●富士通の宮田一雄執行役員常務
写真●富士通の宮田一雄執行役員常務
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 共創サービス強化の内容は、2016年5月に発表したサービス体系の中に、新たに三つのサービスメニューを追加したこと。追加した3サービスは、顧客と共に海外視察などを実施する「リサーチプログラム」、2週間でアイデア創出からサービスのプロトタイプ構築までを支援する「PLY-Dash」、プロトタイプをブラッシュアップし、商品として品質レベルを高める「PoC実施以降の事業化への対応」だ。

 一連の共創サービスを通じ、受託型SIとは異なる価値を顧客に提供することを富士通は狙う。「デジタルビジネスの道のりは試行錯誤の連続だが、ゴールにたどり着けば唯一無二のビジネスになる」と富士通の柴崎辰彦デジタルフロント事業本部 本部長代理は言う。

 サービスの拡充に伴い、共創サービスを提供する人材の育成を急ぐ。富士通は新たに必要となる人材を「デジタルイノベーター」と命名。2017年1月に発足したデジタルビジネス専門の新組織「デジタルフロントビジネスグループ」に集約する。「2018年3月までに200人、今後5年間で1200人のデジタルイノベーターを育成する」と宮田常務は意気込む。