日本ユニシスは2017年5月10日、2017年3月期通期(2016年4月~2017年3月)の決算説明会を開いた。売上高は2822億4900万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は143億1400万円(同14.3%増)と増収増益だった。

 平岡昭良代表取締役社長は「第一に営業利益率を上げることを重視している」と話した。営業利益率は前年同期から0.6ポイント改善して5.1%になった。

平岡昭良代表取締役社長
平岡昭良代表取締役社長
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 営業利益率を改善する上で「最も重視しているのは不採算を起こさないこと」(平岡社長)だ。2017年3月期に不採算案件は無かった。

 不採算リスクが高い大規模プロジェクトは選別して受注するという。官公庁向けサービスは案件を選別したため売上高が減少し、前年同期比13.5%減って138億円だった。

 高い営業利益率が期待できるクラウドサービスなどの新規ビジネス開発にも注力した。平岡社長は「2017年3月期はエンジニアの稼働率をあえて落として、千数百人月分を遊ばせた」と話した。連結で約3000人いる技術者のうち、毎月100人前後は受注した案件ではなくクラウドサービスの開発や実証実験などに取り組んだ。

 開発したクラウドサービスなど新規事業の売上高は全体の1割程度と小さいが「システム開発案件で実現できないほどの高利益率」(平岡社長)で営業利益率改善に貢献したという。2018年3月期通期(2017年4月~2018年3月)には、新規事業の売上高が300億円程度に成長するという。

 2018年3月期の業績予想は売上高が2900億円(2017年3月期比2.0%増)、営業利益が160億円(同11.8%増)とした。営業利益率は5.5%(同0.4ポイント改善)だ。

 2018年3月期は中期経営計画の最終年度に当たる。計画では売上高3200億円、営業利益170億円、営業利益率5.3%が目標だ。平岡社長は「売上高や営業利益は目標に届かない予想だが、営業利益率は計画を上回る」と営業利益率を重視する姿勢を改めて強調した。

 営業利益率改善のため、クラウドサービスの開発や実証実験などの研究開発費は2017年3月期実績の35億円から2018年3月期は40億円まで増やす。

 平岡社長は「最近は研究開発の内容が変わっている」と話す。これまでにクラウド上でサービスを開発する基盤を構築してきたため、新しい技術やアイデアを試す実証実験が増えてきた。素早くサービス提供できるかを試せるため、研究開発の投資コストに対して「事業への貢献が大きい」という。