東京電力グループの小売り事業会社である東京電力エナジーパートナー(東京電力EP)は2017年5月9日、7月に参入予定の家庭向け都市ガス事業について「(契約者管理や料金請求などの)情報システムは最終テスト段階にある。今回の都市ガス事業参入にあたって情報システムの準備に万全を期しており、東京ガスとのシステム連携を含めて順調だ」と表明した。

東京電力エナジーパートナーの佐藤美智夫常務取締役
東京電力エナジーパートナーの佐藤美智夫常務取締役
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 東京電力EPが発表した都市ガスの料金プランは、同社で電気・都市ガスをまとめて契約することを条件に、都市ガスの利用料を東京ガスの「一般料金」プランより3%安く設定し、これを含め契約後1年間は同約8%安くするというものだ。まずは東京都・神奈川県の東京ガス契約家庭を対象として5月10日に申し込みの受け付けを始め、7月に営業を始める。

 当初は熱量調整設備の全面稼働が間に合わないこともあり、2018年3月末の契約目標は4万軒と控えめだが「2020年3月末までに100万軒へガスを供給する」(東京電力EPの佐藤美智夫常務取締役)と強気の目標を掲げる。

 都市ガス事業参入にあたって同社は、電気事業の契約者管理や料金請求などを担う既存の情報システムの中で、都市ガス事業の契約者管理や料金請求も処理する。「情報システムは、2016年4月に電気事業で新料金を出すのに合わせ開発しており、このシステムを改修して都市ガス事業にも使用する。一括請求できるのが一つの売りになっている」(東京電力EPの永沢昌常務取締役)。

 2016年4月の電力自由化を巡っては、送配電事業を担うグループ会社の東京電力パワーグリッドにおいて、電力使用量を新電力各社に通知するためのシステム開発が遅れ、新電力各社の料金収受に影響が出た。このため今回の都市ガス事業参入は、ガス小売りが自由化された2017年4月に合わせてではなく、3カ月遅れの7月とした経緯がある。

 サービス開始に向けた情報システムの準備について同社は「現在最終テストに入っている。2016年は4月に東京電力グループの分社化もあり『何とか間に合わせたい』ということで4月開始としたが、今回はやりたいテストをしっかり一つずつできている。東京ガスの託送部門と当社とのシステム連携も、先方と協議しながら実施しており、順調に進んでいる」(永沢常務)と説明。「ミスが絶対無いかと言われると起きてみないと分からないが、万全を期している」(永沢常務)として、システムトラブルなく都市ガスの商用サービスを始めることに自信を示した。