富士通は2017年5月9日、古河電気工業の100%子会社で生産管理システムなどを開発する古河インフォメーション・テクノロジー(FITEC)を買収すると発表した。FITECの発行済株式のうち51%を古河電工から取得することで子会社化する。具体的な出資金額は非公表。富士通は2017年10月2日をメドに株式の取得を終える。併せて古河電工と情報システム分野の業務提携を結ぶ。

富士通は古河電気工業の100%子会社である古河インフォメーション・テクノロジーを買収すると発表した
富士通は古河電気工業の100%子会社である古河インフォメーション・テクノロジーを買収すると発表した
(出所:富士通)
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 FITECは現在、主に古河電工グループ向けの生産管理システムや業務システムを開発・運用している。古河電工は富士通との業務提携により、同グループ内で不足していたIT人材を育成する。IoT(インターネット・オブ・シングズ)や人工知能(AI)の導入によって生産現場の自動化や効率化を進める。古河電工の広報担当者は「ものづくりの効率化によって原価低減などの効果が期待できる」と語る。富士通からの人材受け入れなど、具体的な取り組みについては今後、検討する。

 富士通は業務提携を通して古河電工との関係を強化し、古河電工の強みである製造業分野のITや業務ノウハウを取り込む。FITECの子会社化で、古河電工グループに向けた製品やサービスの販売を強化する狙いもある。古河電工グループはグループ内のセキュリティ対策や基幹業務の効率化に取り組むとしており、富士通のクラウドサービスやAIを売り込むとみられる。

 古河インフォメーション・テクノロジーは株式の譲渡後に社名を「FITEC」に変更するほか、富士通から経営陣を受け入れることも予定している。