NTTドコモがインド撤退を巡り合弁相手のタタ・グループに約11億7200万ドル(約1300億円)の損害賠償金の支払いを求めていた問題で、インドのデリー高等裁判所は2017年4月28日、ドコモ側の言い分を全面的に認める判決を出したことが分かった。2014年の係争開始から約3年、ドコモは近く賠償金を全額受け取れることになった。

 ドコモは2009年にタタ傘下の通信会社のタタ・テレサービシズに2600億円超を投じて26%出資したが、業績を伸ばせず2014年7月に撤退を決めた。契約に基づきタタ側に保有株を取得価格の50%で買い取るか別の買い手を探すように依頼したが、株のプットオプション(売る権利)を規制するインド準備銀行が取引を認めなかった。

 ドコモはタタが契約を守らなかったと判断して2015年1月に英ロンドンの国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てた。国際仲裁裁判所は2016年6月にドコモの言い分を全面的に認め、タタに約11億7200万ドルの賠償金の支払いを命じていた。

 タタ側は仲裁裁定が出た後もインド準備銀行の許可がなければ支払えないとの姿勢を変えなかった。そこでドコモは2016年7月から英国とインド、米国でタタが持つ資産の差し押さえに向けた執行を申し立てていた。

 2016年10月にタタ・グループの統括会社タタ・サンズが当時会長を務めていたサイラス・ミストリー氏を解任し、創業家一族で前任のラタン・タタ氏が暫定会長に就くと交渉が前進。2017年2月にドコモはタタ側が全額を支払うことで合意したと発表した。

 両社はインドのデリー高裁に賠償金の支払いを認めるように共同で申し立てていた。デリー高裁がインド準備銀の許可なくタタに支払いを認める判決を出すかが焦点となっていた。2017年4月28日の午後5時45分ごろ(日本時間)から始まった裁判で、デリー高裁はタタがドコモへの支払いを認める判決を下したという。