日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2017年4月28日、「企業IT動向調査2017」の結果を発表した。ユーザー企業の投資動向やIT戦略動向などを調べるもので、1994年度から毎年実施している。今回調査では、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やビッグデータなどビジネスのデジタル化を進めるための新規技術を重視する傾向が鮮明になった。

 特に注目されているのがIoT。「重視すべきテクノロジー」の1~3位を尋ねたところ、22.1%の企業がIoTを1位に挙げた()。効果としては、「生産性の向上」や「新規ビジネスの創出」を期待する企業が多い。IoT導入のハードルとなるのは「関連技術の習得や選択」で、22.6%の企業が課題に挙げた。このほかの課題としては、「導入する目的の明確化」「費用対効果の説明」などを挙げる企業が多かった。

図●「重視すべきテクノロジー」を尋ねた結果
図●「重視すべきテクノロジー」を尋ねた結果
(出所:日本情報システム・ユーザー協会)
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 IoTなどを活用したビジネスのデジタル化に取り組む企業が増えていることも分かった。売上高1兆円以上の企業では、半数近くが既にデジタル化を実施。全体で見ても、約4割の企業がデジタル化を実施、または検討している。自由記述から、製造業では設備/生産管理へのIoTの導入が進展していること、非製造業ではマーケティングなどでのビッグデータや人工知能(AI)の適用が進んでいることなども明らかになった。

 IT人材についての調査では、「IT部門が魅力ある部門でない」と感じる企業が全体の4分の3に上った。業種グループ別に見ると、金融業界ではIT部門が魅力的だと捉えられている傾向が強かった。またIT部門を魅力的だと感じている企業では、8割程度が「IT部門での業務経験がその後キャリアアップに有益だ」と回答しており、IT人材育成の好循環が生まれていることが分かった。

 調査のテーマは、IT予算やグローバルIT戦略、システム開発、ワークスタイルなどにも及んでいる。JUASは一部について既に速報値を発表しているが、今回はそれ以外の調査結果のポイントも公表している(関連記事1関連記事2関連記事3関連記事4)。

 JUASは同時に、「システム運用調査・ソフトウェアメトリックス調査2017」の結果も発表。IT運用コストの内訳や管理指標に関する調査/分析結果をまとめている。

JUASの発表資料