野村総合研究所(NRI)は2017年4月27日、2017年3月期通期(2016年4月~2017年3月)の連結決算(日本基準)を発表した。売上高は4245億4800万円(前年同期比0.7%増)、営業利益は585億1400万円(0.4%増)で、かろうじて増収増益を確保した。保有株式売却による特別利益などが発生し、純利益は450億6400万円(5.7%増)だった。

野村総合研究所(NRI)の横山賢次・常務執行役員
野村総合研究所(NRI)の横山賢次・常務執行役員
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 セグメント別では、主力の「金融ITソリューション」の売上高が前年同期比2.2%減、営業利益が9.3%減となり、全体の足を引っ張った。内訳では、証券業の売上高が前期にあった大型案件の反動で3.8%減、保険業の売上高が顧客の投資手控えで8.9%減となったのが影響した。

 一方で、「コンサルティング」の売上高は8.1%増、「産業ITソリューション」(流通業、製造・サービス業等)の売上高は4.7%増と堅調で、金融ITの不調をカバーした。この二つのセグメントでは、2016年12月までに買収手続きが完了した子会社豪ASGグループの業績が約3カ月分反映され、売上高を押し上げた。

 2018年3月期通期の予想は売上高4600億円(前年同期比8.4%増)、営業利益640億円(9.4%増)とした。ASGグループの業績が通期で寄与することや、金融ITが回復することなどを見込んでいる。

 横山賢次・常務執行役員は「会社として注視しているのが、金融ITのうち特に保険業の動向だ。ここできちんと目標を達成できるようにしたい」と述べた。保険業の顧客の間では、2017年1月の米国の政権交代などによる不透明感から投資を躊躇する傾向があったという。先延ばしになっている案件の獲得を目指す。

 NRIは現在日本基準で業績を発表しているが、IFRS(国際会計基準)を任意適用する方針を初めて明らかにした。適用年度は未定。