トリドールホールディングス(HD)は、かつ丼・トンテキの専門店「豚屋とん一」にスマートフォンを使った事前注文・決済サービスを導入した。利用者は来店前に料理を注文し、来店すると待たずに料理を受け取れる。事前登録したクレジットカードで決済できるため、食べ終えたら会計をせずに店を出られる。店舗運営の効率化と顧客サービス向上を両立する。

「O:der by Self」の注文画面
「O:der by Self」の注文画面
(出所:Showcase Gig、以下同)
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 ITベンチャーのShowcase Gig(ショーケースギグ)が2017年4月26日に発表した。同社が開発した「O:der by Self(オーダー・バイセルフ)」を導入した。4月18日に「豚屋とん一」イオンモール四條畷店・堺東駅前店・イオンモール多摩平の森店、4月20日にイオンモール大日店が導入済み。順次、店舗を広げる。

 利用者はShowcase Gigのスマホアプリ「O:der(オーダー)」で、来店前に商品を注文したり決済したりする。豚屋とん一は店内で食べるイートインのほか持ち帰り弁当も販売しており、両方とも事前注文できる。注文した商品の調理が終わると利用者のスマホに連絡が届き、来店すると待たずに出来たての料理を受け取れる。「お客様が子育てやお仕事などで忙しいなか、事前注文方式を活用することでタイムリーな商品提供を可能にする」(トリドールHDの川井陳好豚屋とん一事業部部長)。

サービスの仕組み
サービスの仕組み
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 事前決済については、注文確定時点でカード番号を認証し、商品の受け渡し時に店員がO:derの店舗向けアプリを操作して引き落とす。カード会社との契約などの調整を経て、事前決済を6月にも可能にする。当初は現金などを使って店舗で決済する。

 飲食店のIT化を巡っては、スマホやIoT(インターネット・オブ・シングズ)の技術を使った事前注文・決済が広がりつつある。乃村工藝社が開発を進めているほか、米国ではスターバックスやマクドナルドも導入に動く。人手不足が深刻化するなか、飲食業界の課題をITで解決する「フードテック」に注目が集まりそうだ。