みずほフィナンシャルグループ(FG)は2017年4月26日、ブロックチェーンを実際の貿易取引に使うと発表した。紙媒体で管理していた信用状や保険証券などの貿易書類を、ブロックチェーンを使ったシステムで電子化する。2017年6月の運用開始を目指す。

 貿易書類の電子化は銀行のほかに売買する事業者、輸送業者、保険会社など複数の関係者が介在するため、データ改変の恐れがないシステムを構築することが課題だった。みずほFGはブロックチェーンを使い、改変されないシステムを低コストで構築できるとして実際の取引への採用を決めた。

 みずほFGがシステムに使うブロックチェーンは、日本IBMが商用クラウドサービスとして提供を始めている「Fabric」と米R3が開発を主導する「Corda」。それぞれを使ったシステムを構築して実際の貿易取引で使い、貿易書類を電子化する効果を検証する。結果次第で両方のシステムを採用するか、どちらかだけを採用するかを決める。

 ブロックチェーンを使った貿易書類の電子化は、オリックス銀行や東京海上日動火災保険がNTTデータと、三井住友銀行が日本IBMと実証実験を実施してきた。複数のシステム仕様が乱立すると貿易関係者は取引相手によってシステムを使い分けることになるため使い勝手が悪い。みずほFGが実際の取引での採用を宣言したことで、システムの標準化に向けて大きく前進した。