米シスコシステムズのチャック・ロビンスCEO(最高経営責任者)は2017年4月25日に東京都内で会見した。ロビンスCEOは「米日経済協議会(USJBC)」の会長を務める。米トランプ政権が打ち出している技術者向けの就労ビザ「H-1B」の審査厳格化について「米国への移民について我々は、より熟練度が高く、技術に対する造詣が深く、高度な教育を受けた人を必要としている。H-1Bビザは本来の意味で熟練度の高い人に利用されるべきだ。熟練度の高い人が米国で働き続けられるようにしないといけない」と語り、一定の理解を示した。

米シスコシステムズのチャック・ロビンスCEO
米シスコシステムズのチャック・ロビンスCEO
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 トランプ政権についてロビンスCEOは「トランプ大統領がビジネスの重要性をよく理解しており、ビジネスによって全ての人にチャンスが生まれると考えている。トランプ大統領が話す多くのことや、トランプ政権による政策などはビジネス環境にとって良いものになっているし、世界経済にもプラスになっていると思う」との見解を示した。

 トランプ政権は、大統領選で公約として掲げ現在も主要政策の一つと位置付ける移民政策の見直しの一環として、H-1Bビザの見直しにかねて言及している。2017年3月には追加料金を支払うことで審査期間を短縮できる「特急審査」を最大6カ月休止すると発表したのに続き、4月3日には大卒以上の学歴を必要としない初級レベルのプログラマー職はH-1Bビザの対象外にすると発表している。ロビンスCEOの発言は、こうした施策を踏まえたものとみられる。

 米国のIT業界ではH-1Bビザの見直しを含む移民政策の変更に対し、海外出身の優秀な人材が米国に移住しづらくなるとの声があり、米国企業が海外で獲得した利益に対する課税強化などと共に懸念が出ていた。ロビンスCEOは、大統領選でトランプ氏が勝利した直後から政策について擁護する姿勢を示しており、2016年12月には米アップルのティム・クックCEOや米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOなどとともにトランプ大統領と会談している。