ディー・エヌ・エー(DeNA)と横浜市は2017年4月24日、自動運転社会を見据え地域交通のあり方を検討する「無人運転サービス・AI(人工知能)を用いた地域交通課題解決プロジェクト」を開始した。プロジェクトの最初の取り組みとして、DeNAの自動運転バスである「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」の一般向け試乗イベントを、2017年4月27日、28日の2日間、神奈川県横浜市の金沢動物園にて実施する。

左から、ディー・エヌ・エーの執行役員 兼 オートモーティブ事業部長 中島宏氏、横浜市の林琢己経済局長、金沢動物園の原久美子園長
左から、ディー・エヌ・エーの執行役員 兼 オートモーティブ事業部長 中島宏氏、横浜市の林琢己経済局長、金沢動物園の原久美子園長
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 同イベントでは動物園の入園料は必要だが、自動運転バスの乗車料は無料。午前10時から午後3時まで、1時間に5~6本運行する。片道約180mを往復し、時速約5km程度のゆっくりとしたスピードで走る。

 ロボットシャトルはカメラ、各種センサー、GPSを備えており、測位しながら自動で走行する。車両上部には周囲の環境を認識するためのセンサーが、車両下部には障害物を検知する4つのセンサーがついている。

 「ロボットシャトルは、『横に動くエレベーター』のイメージ」とDeNA 執行役員の中島 宏オートモーティブ事業部長は述べる。試乗イベント時には、バスに「オペレーター」と呼ばれる、自動運転車に乗るためのドアの開閉などをサポートするスタッフが同乗。「エレベーターも昔はエレベーターガールと呼ばれる人がエレベーターに乗っていたが、今はスタッフが乗っていなくてもみんなエレベーターに乗って自分の行きたい階に行く。ロボットシャトルも、安心して乗ることができるように、段階的にそうなってほしい」(中島部長)。

 衝突や事故をさける安全対策は、2段階で機能する。あらかじめ設定したセーフティエリアに人がいるのをセンサーで感知した場合、まず減速。さらにバスの近くに近づいたら、ブレーキがかかり停止する仕組みだ。また、車内には非常停止ボタンが備え付けてあり、人が飛び出してきた場合はオペレーターが安全のために緊急停止できるようになっている。

車内の様子。パネルには現在地が表示される。将来的には、動物の動画や説明などのコンテンツを位置情報と連動して表示することも視野に入れる。
車内の様子。パネルには現在地が表示される。将来的には、動物の動画や説明などのコンテンツを位置情報と連動して表示することも視野に入れる。
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ボタンを押すとスロープが出てくるなど、バリアフリーにも対応している。
ボタンを押すとスロープが出てくるなど、バリアフリーにも対応している。
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 本試乗イベントの狙いは、「金沢動物園における定期運航の実現可能性の検証」と、「起伏の多い地域での実用も見据えた地域住民の社会的受容性の向上」の2つ。前者は、安全性やサービスの検証に加えて、健全な運営ができるかなどを、コストとニーズなどから検討する。後者は、横浜市は坂道などが多く自動運転車の導入のニーズが高いことから、起伏の多い地域での実用化について検証する。