情報処理推進機構(IPA)は2017年4月24日、「IT人材白書2017」を公開した。IT企業やユーザー企業などを対象としたIT人材の動向調査と、ITエンジニア個人を対象とした意識調査をIPAがまとめたもの。毎年1回発行している。今回の2017年版は、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)などを駆使した「デジタルビジネス」を推進するITエンジニアの必要性を強く打ち出した内容となっている。

 IPAは2017年版のIT人材白書で、「IT企業、ユーザー企業ともに本格的にデジタルビジネスに取り組む時期に突入した」と主張。IoTやビッグデータ、AIといった技術の進展による社会や産業の変化に対する認識を尋ねた質問の回答を根拠として示す。

 同質問に対し、IT企業(回答数1218)の23.9%、ユーザー企業(同983)の16.4%が「すでに変化の中にいる」と回答したという。ITに詳しいとは限らないユーザー企業でも、6社に1社がITによる変化の中にいると感じ取っている計算になる。

 一連の調査結果を踏まえ、IPAはデジタルビジネスを推進するには、ビジネスの全体方針を示す経営者と、デジタル化の具体的な施策を主導する人材が欠かせないと説く。後者の施策を主導する人材に求められるスキルとしては、「ビジネスとデジタルをマッチングさせる知見」「人を巻き込む力」を挙げる。ビジネスをよく理解するITエンジニアを有力候補として想定しているわけだ。

 これらのスキルを持つ人材には、新規事業の立ち上げや転職といった「多様な経験」を持ち、コミュニティーや勉強会に積極的に参加するなど「外部とのつながり」という共通点があったという。このため、IT企業、ユーザー企業ともに、多様な経験を積ませる環境の整備が重要になるとしている。