大日本印刷(DNP)は2017年4月24日、企業のデジタルマーケティングを支援するソフトウエア製品「diip(ディープ)」をクラウドでも提供すると発表した。クラウド版を提供することで、導入コストの抑制やシステムの柔軟性を重視する企業への販売につなげる。主に小売業者や流通業者への導入を想定し、2017年4月に販売を始める。同社は2020年までに関連事業を含めて35億円の売り上げを目指す。

「DNPデジタルマーケティングプラットフォーム diip」クラウド版の概要
「DNPデジタルマーケティングプラットフォーム diip」クラウド版の概要
(出所:大日本印刷)
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 小売業界では、EC(電子商取引)サイトにおける顧客の購買履歴や閲覧履歴などの情報を活用したデジタルマーケティングが拡大している。大日本印刷は、これらの情報を分析して企業のマーケティングを支援する「DNPデジタルマーケティングプラットフォーム diip」を2015年7月から販売している。diipを導入する企業は、顧客の行動履歴から特定の商品に興味をもつ人物を抽出し、選択的にダイレクトメールを送るなどのマーケティング活動を実施できる。

 今回発表されたクラウド版diipは、大日本印刷が持つデータセンター(DC)とAmazon Web Services(AWS)を組み合わせて提供する。顧客の個人情報を同社のDCに保管し、匿名化した顧客の情報をAWS上に構築したdiipで分析する。「パブリッククラウドに個人情報を預けない仕組みを持つことで、高いセキュリティを実現した」(大日本印刷 広報室)。

 同製品を導入することで、企業のマーケティング担当者は自社のデジタルマーケティングに必要な機能だけを選択でき、小規模なテストマーケティングの実施も容易になるという。

 クラウド版diipでは機能に応じて3つのサービスを提供する。最小構成の「ライト」は、年間ライセンスが500万円、月間の運用費が50万円から。上位構成には、データ分析ツールを30種類まで利用できる「スタンダード」、約100種類を利用できる「アドバンス」を提供する。