マカフィーは2017年4月21日、事業戦略説明会を開催した。2017年は、セキュリティ人材不足の解決、働き方改革の支援、IoT/公共インフラ分野への展開、の3つに注力する。米マカフィーが米インテルから分社してから初めてとなる会見で、マカフィー日本法人の山野修社長は「セキュリティ業界全体で注力すべき分野に取り組む」と原点回帰の姿勢を示す。

マカフィーの山野修代表取締役社長
マカフィーの山野修代表取締役社長
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 1つめである、セキュリティ人材不足の解決への取り組みは、経済産業省が2016年に公表した「2020年に約19万人の国内セキュリティ人材が不足する」という調査結果を受けてのもの。コンサルティングや研修などでセキュリティ人材の育成を支援する「プロフェッショナルサポート」事業を強化する。「『製品のみでなく、セキュリティサービスを支援してほしい、セキュリティそのものの運用を任せたい』という企業からの要望に応える」(山野社長)。

 2つめの働き方改革の支援では、主にテレワークや在宅勤務に関するセキュリティの強化を目指す。テレワークや在宅勤務は必要性が叫ばれてきたものの、なかなか普及してきていないという。「企業が新しい働き方を取り入れるのにボトルネックとなっているものとして、コストとセキュリティがある。情報漏洩対策や社内外のPCやスマートフォンのデバイス管理をマカフィー製品で支援する」と山野社長は述べる。

3つめの注力分野「セキュリティを新たな分野へ展開」
3つめの注力分野「セキュリティを新たな分野へ展開」
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 3つめのIoT/公共インフラ分野への展開について、マカフィーは、「セキュリティの新しい分野」と位置付ける。ルーターやネットワークカメラに感染するマルウエア「Mirai」に代表される、IoT(インターネット・オブ・シングス)機器や公共インフラのOT(制御技術)を狙う脅威への対処を、事業機会とする。

 「国策も相まって、電力・ガス・交通の分野で、セキュリティを見直す動きが集中している」(山野社長)という。2017年4月5日に東京電力パワーグリッドが発表した、マカフィーや東芝、NTTデータなどと共同で次世代スマートグリッド技術を海外展開を視野に開発する協業について言及し、公共インフラのセキュリティ支援体制を引き続き強化するとした。

 米マカフィーは2011年に米インテルに買収され、2014年には「インテル・セキュリティ」に社名を変更していた。2016年9月に、投資会社の米TPGがインテル・セキュリティの株式を51%取得して米マカフィーとして分社化すると発表し、この4月4日に米マカフィーを米インテルと共同で設立したばかりだ。

 山野社長は新生マカフィーとしての数値目標や独自性について「分社後間もないため話せない」としながらも、「分社によって企業買収による事業の拡大が可能になる」と応じて総合セキュリティ企業としての事業再編に含みを持たせた。