シスコシステムズは2017年4月21日、セキュリティ人材を育成するためのプログラム「サイバーセキュリティ スカラシップ」を発表した。同社のCTO(最高技術責任者)を務める執行役員の濱田義之氏は「日本におけるセキュリティ人材の枯渇は大きな問題。セキュリティ人材育成に協力するために立ち上げた」と経緯を説明する。

 サイバーセキュリティ スカラシップでは学生を対象にセキュリティ教育を無償で提供する。教育は3段階に分かれ、最初のステップではeラーニングでセキュリティの基礎知識/スキルを身に付けさせる。

シスコのセキュリティ教育プログラム「サイバーセキュリティ スカラシップ」の概要。
シスコのセキュリティ教育プログラム「サイバーセキュリティ スカラシップ」の概要。
(出所:シスコシステムズ)
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 優秀と判断された学生などは次のステップに進み、ハンズオン研修を含むインストラクターによる教育を受ける。セキュリティ全般の知識/スキルを身に付けつつ、「CCENT」や「CCNA Routing&Switching」「CCNA Security」「CCNA Cyber Ops」といった同社の技術認定を目標とする。

 最終ステップでは、サイバー攻撃を監視・分析するSOC(セキュリティ・オペレーション・センター)業務の内容を勉強したり、米国本社のイノベーションセンターなどでのOJT(職場教育)を受けたりして、即戦力となる人材を目指す。これらの教育を受けるためにかかる費用は同社が負担。ただし、CCNAなどの認定を受けるための費用は受講者が負担する。

 最初のステップであるeラーニングは2017年秋に開始予定。順次、残りのステップを用意する見込み。当初3年間で、最初のステップは2000人、次のステップは200人、最終ステップは30人の修了を目指す。「当初は学生のみが対象だが、将来は障がい者やセカンドキャリア、女性に広げる。期間を区切らず、2020年以降も継続していきたい」(濱田氏)。

 今回、同プログラムを中心としたコンソーシアムを設立した。メンバーはICT教育推進協議会に参加する企業や大学、専門学校などの学校などで、プログラムの運営やインストラクターの育成などを担う。