分散バッチ処理ソフト「Apache Hadoop」製品を手がけるホートンワークスジャパンは2017年4月21日、2017年度の事業説明会を開催した。この3月に同社の執行役員社長に就任した廣川裕司氏は今後5年間で国内パートナーを現在の12社から50社程度に増やすなどの成長戦略を語った。廣川氏はオープンソースソフトウエア(OSS)ベンダー最大手である米レッドハットの元日本法人社長。

 ホートンワークスジャパンは、Hadoopおよびオンメモリーの分散データ処理ソフト「Apache Spark」を中心とするOSSを組み合わせたHadoopディストリビューション「Hortonworks Data Platform」を提供する米ホートンワークスの日本法人。Hadoopディストリビューションを事業の核とする米クラウデラなどと競合するOSSベンダーだ。

ホートンワークスジャパンの廣川裕司執行役員社長
ホートンワークスジャパンの廣川裕司執行役員社長
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 「今後5年間で、OSSベンダーの日本法人の中で1位の成長速度を得ながら、自社製品をデファクトスタンダード(事実上の標準)にしていく。顧客やパートナーにとってデータ処理基盤のリーダーとして信頼される存在になる」。廣川社長は基本方針をこう説明した。

 具体的な施策として、社会インフラや製薬、公共といった業種ではトップセールスで新顧客を開拓。国内のパートナーは5年間で12社から50社程度に増やし、従来のパートナーであるNECに加えて、富士通や日立製作所といった国内ITベンダーとの協業を模索する。こうした施策を後押しするために、IoT(インターネット・オブ・シングズ)機器から生じるデータの処理の流れをGUIで記述できる「Apache NiFi」やリアルタイム処理の「Apache Storm」などから成る「Hortonworks DataFlow」を事業の柱として育てる。

データの処理の流れをGUIで記述できる「Apache NiFi」やリアルタイム処理の「Apache Storm」などから成るテータ処理ソフト「Hortonworks DataFlow」
データの処理の流れをGUIで記述できる「Apache NiFi」やリアルタイム処理の「Apache Storm」などから成るテータ処理ソフト「Hortonworks DataFlow」
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 OSSベンダーとしてコミュニティーを醸成する施策としては、同社が「フレンズ」と呼ぶ、ホートンワークス製品のファンを増やす活動を紹介。自社セミナーなどを通じて、現在100人程度のフレンズを2022年までに1万人の規模にするとした。技術的なスキルの認定制度とは別の、いわゆるファンを獲得する活動に当たる。

三菱ふそうトラック・バスのルッツ・ベックCIO
三菱ふそうトラック・バスのルッツ・ベックCIO
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 会見には、三菱ふそうトラック・バスでCIO(最高情報責任者)を務めるルッツ・ベック氏が臨席。同社のトラックから車両の情報を収集する「コネクテッドトラック」システムの基盤にホートンワークスの製品を採用しているとし、「トラック、さらには自動車業界でトップレベルのデジタル化を進める」と意気込みを話した。