米国市場調査会社のeMarketerが現地時間2017年4月20日に公表したリポートによると、2017年の中国における成人の1日当たりスマートフォン利用時間は1時間38分となり、同社が先に予測していた利用時間よりも7.4分増える見通し。

 利用時間が増えている主な要因は、韓国Samsung Electronicsの「Galaxy」や米Appleの「iPhone」といった、大手メーカーの旗艦スマートフォンと同等の機能を持つ低価格端末が市場に出回っているためだという。これにより、スマートフォンの利用者が増加し、利用者とスマートフォンの関わりもこれまで以上に深まっているとする。

 中国成人のスマートフォン利用時間は依然、テレビの視聴時間よりも短い。しかしその差は徐々に縮まりつつあるとeMarketerは指摘している。同社の予測によると、2019年には、中国成人の1日当たりのスマートフォン利用時間は2時間9分となり、テレビの平均視聴時間との差は25分程度にまで縮まるという。

 また、eMarketerは「ここ数年、中国では、消費者の従来メディアに対する関心が薄まりつつある」とも指摘。2017年における同国のメディア利用時間は、インターネットが54.2%と過半になり、このあとテレビの40.6%、ラジオの3.1%、印刷メディアの2.1%が続くと予測している。

 eMarketerのシニアアナリスト、Shellen Shum氏は、「中国では、テレビは今後もインターネット動画配信によって損失を被るだろう」と述べている。「iQiyi(愛奇藝)」「Youku Tudou(優酷土豆)」「Tencent Video(騰訊視頻)」といったネット動画配信が従来のテレビから視聴者を奪っていくと、同氏は予測している。これはミレニアル世代だけでなく、中高年や高齢者層にも当てはまる傾向だという。

 なおラジオは従来型メディアの中で唯一利用時間が減らないメディアだと同社は予測している。同社はその理由の1つとして、中国における小型乗用車の減税政策を挙げている。この優遇措置により同国では自動車所有者が増加している。これに伴いラジオ聴取者も増えているという。

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