レッドハット日本法人は2017年4月20日、新年度(2017年3月~2018年2月)の事業戦略を発表した。より成長の見込まれるクラウド事業を強化する。同社の望月弘一社長は「2017会計年度(2016年3月~2017年2月)における全体の売り上げは前年度比18%の成長を遂げたが、まだ伸び代はある。これ以上の成長を目指したい」と述べた。

レッドハット日本法人の望月弘一代表取締役社長
レッドハット日本法人の望月弘一代表取締役社長
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 現在のレッドハット日本法人の主な事業はRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の販売で、売り上げの約70%を占める。同社によると、クラウド関連の売り上げは前年度比36%増となり、OS関連の15%増を上回る成長だった。同社は3年後、OS事業を除く売り上げが全体の50%に達すると見込む。

 この成長をけん引すると同社が期待するのが、データセンター事業者がサーバー専有型のクラウドサービスを構築してユーザー企業に提供する「Private Cloud as a Service」の領域だ。

 オンプレミスにプライベートクラウドを構築する企業は、サーバーの更新やソフトウエアの管理を自前で行う必要がある。Private Cloud as a Serviceは、データセンター事業者が物理的に独立したサーバーを用意し、プライベートクラウドとして利用できるようにするサービスのこと。導入する企業は自前でサーバーを管理するコストを削減できるほか、高度なセキュリティを実現できるという。

 同社は、Private Cloud as a Serviceの基盤となるソフトウエアとして、クラウド基盤構築ソフト「OpenStack」やコンテナ基盤構築ソフト「OpenShift」を提供している。

 現在、同社の提供するOpenStackを導入する企業は、ユーザー企業、データセンター事業者を含めて約100社で、今後200社への拡大を目指す。普及には人材不足が課題となることから、技術者へOpenStackのトレーニングも提供する。トレーニングの受講者数を累計2000人、一定のスキルを持つ認定技術者を800人まで増やす計画だ。

 望月氏は「プライベートクラウドへの取り組みはまだ不十分。新年度では特に力を入れていきたい」と語った。