米Amazon Web Services(AWS)は米サンフランシスコにおいて、現地時間の2017年4月18日、19日の2日間にわたり、年次イベントの「AWS Summit San Francisco 2017」を開催。19日の基調講演で米Amazon.comのバーナー・ボーガスCTO(最高技術責任者)が登壇し、NoSQLデータベースDynamoDBを10倍速化する拡張機能「Amazon DynamoDB Accelerator(DAX)」をはじめ、新サービスや機能強化を多数発表した。

米Amazon.comのバーナー・ボーガスCTO(最高技術責任者)
米Amazon.comのバーナー・ボーガスCTO(最高技術責任者)
(出所:基調講演のストリーミング映像、以下同じ)
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 DAXはDynamoDBの分散インメモリーキャッシュ。ボーガスCTOによると「キャッシュからレスポンスが返る速度は、従来のDynamoDBの10倍になる」という。同日より、米バージニア北部、米オレゴン、アイルランドの3リージョン(広域データセンター群)で、パブリックプレビューとして提供を始めた。ユーザーは申請後に利用できる。パブリックプレビューでは費用は掛からない。

DynamoDBにインメモリーのキャッシュ層を配置する「Amazon DynamoDB Accelerator(DAX)」
DynamoDBにインメモリーのキャッシュ層を配置する「Amazon DynamoDB Accelerator(DAX)」
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 DynamoDBについては、もう一つ大きな機能強化を施した。それは、AWS上の仮想プライベートネットワークAmazon VPC内のリソースから、DynamoDBに直接アクセスできる「VPCエンドポイント」。これも同日に提供を始めた。

S3上のデータを直接検索できるRedshift Spectrum

 オブジェクトストレージAmazon S3上のデータに対し、DWH(データウエアハウス)サービスAmazon Redshiftから直接クエリーを投げられる「Amazon Redshift Spectrum」という新サービスも発表した。「S3にある大量のデータに対して、複雑なクエリーを直接実行できる」とボーガスCTOは説明する。従来は、S3のデータに対して複雑なクエリーを実行するには、データをRedshiftに取り込む必要があった。

S3上のデータに対し、Redshiftから直接クエリーを投げられる「Amazon Redshift Spectrum」
S3上のデータに対し、Redshiftから直接クエリーを投げられる「Amazon Redshift Spectrum」
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 データ形式はCSV(カンマ区切り)やJSON(JavaScript Object Notation)などに加え、gzipやSnappyによる圧縮データにも対応する。料金は、クエリー実行に伴いS3から読み取ったデータサイズで決まり、1TB当たり5ドル(税別)。別途、RedshiftやS3の費用が掛かる。バージニア北部リージョンでは展開済みで、他リージョンには順次展開する。ボーガスCTOは「既にいくつかの顧客がRedshift Spectrumを利用している」として社名を挙げた。日本企業では、NTTドコモやリクルートグループが利用しているという。