ソフトバンク傘下のシステム開発企業リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ(東京・港)と、歯科医療機器販売大手のモリタ(大阪府吹田市)は2017年4月中旬までに、ヘッドマウントディスプレー(HMD)によって歯科治療を支援するシステムを開発した。2年後をめどに、歯科大学などにおける教育・研修用途での実用化を目指す。

ヘッドマウントディスプレーを装着して治療を実演する歯科医師の芳本岳氏
ヘッドマウントディスプレーを装着して治療を実演する歯科医師の芳本岳氏
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 モリタの森田晴夫代表取締役社長は「当社は、画像診断やCADなどコンピュータを使って歯科医療を革新する取り組みを推進してきた。未来を見据えたときに、AR(拡張現実)やMR(Mixed Reality=複合現実)を活用することで、治療の精度を高められると考えた」と話す。

 新システムは、仮想空間(画像診断結果)と現実空間(目の前の患者の姿)を複合させるMR技術を活用する。歯科医師は米オキュラスVRのHMD「Oculus Rift cv1」を装着した状態で治療する。

肉眼では見えない神経などが目の前の患者に重ね合わせて表示される
肉眼では見えない神経などが目の前の患者に重ね合わせて表示される
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 HMDの画面上では、事前に実施したレントゲン写真などの画像診断結果と患者の姿をリアルタイムで重ね合わせて表示する。肉眼では見えない内部の神経などもマーキングして表示される。

 従来は画像と患者の姿を交互に見て、神経の位置を推測しながら治療を進める必要があった。新システムでは、視線を目の前の患者の口内に集中させたまま、神経の位置を正確に把握しながら傷めないように治療を進められる。