メラノックステクノロジーズジャパンは2017年4月20日、都内で会見し、ネットワーク機能、PCI Expressスイッチ、ARMコアの要素を一つに統合したSoC(システムオンチップ)型のプロセッサー「Bluefield」を2017年下半期に出荷すると発表した。SoC単体で他の製造業者に提供するほか、SoCを搭載したネットワークアダプターなども製品化する。

Bluefieldを搭載した多機能型ネットワークアダプターのモックアップ
Bluefieldを搭載した多機能型ネットワークアダプターのモックアップ
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 用途の例として、セキュリティー機能を搭載した多機能型のネットワークアダプター、ネットワーク経由でフラッシュドライブを利用する形態であるNVMe over Fabricsを実現するストレージ機器、複数のGPUカードを接続したディープラーニング専用アプライアンス、などを想定する。

 ネットワーク機能は、同社が提供しているInfiniBand/イーサネット兼用チップ「ConnectX-5」と同等の機能を搭載する。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)などにおいてサーバー間を低遅延で接続するInfiniBand通信と、汎用のネットワーク接続に使われるイーサネット通信の両方に利用できる。

 NVMe over FabricsやRAIDなどのストレージ制御機能やセキュリティー機能など任意のOS/アプリケーションを動作させるCPUとしては、組み込み型システムでよく使われる汎用CPUのARMコアを搭載する。現状のBluefieldは4コアのARMを搭載するが、いずれは8コアを搭載する。

 PCI Expressスイッチ機能も搭載する。これにより例えば、複数のGPUカードをつないだディープラーニング専用アプライアンスなどを作れる。汎用CPUベースのPCサーバーにGPUを搭載する場合と比べ、よりGPUの利用に特化したアプライアンスを作れる。

2017年には200G HDR InfiniBandのNICも出荷

 2017年に、200Gビット/秒のInfiniBand規格に準拠したネットワークアダプターも出荷する。米メラノックス・テクノロジーズ社長兼最高経営責任者(CEO)のエヤル・ワルドマン氏は、「100Gビット/秒以上でエンドツーエンドで接続できる。2020年に向けて8Kビデオの帯域が必要とされている。こうした時代に対応できる」とアピールする。

米Mellanox Technologies 社長兼最高経営責任者(CEO) エヤル・ワルドマン氏
米Mellanox Technologies 社長兼最高経営責任者(CEO) エヤル・ワルドマン氏
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 記者発表会では、2015年から提供しているネットワーク処理用ASIC(特定用途向けIC)の「Spectrum」について、国内での販売に注力していく旨も発表した。同社ではSpectrumについて、市場でよく使われている米Broadcomの「Tomahawk」(100GbE用)や「Trident-II」(10GbE用)よりも高性能としている。

 Spectrumを搭載したホワイトボックススイッチ「SNシリーズ」も、2016年4月から国内で販売中である。Cisco IOSに似たCLIを備えた独自OS「MLNX-OS」のほか、LinuxベースのネットワークOS「Cumulus Linux」などが動作する。