米Googleの親会社である米Alphabetの生命科学事業、米Verily Life Sciencesは現地時間2017年4月19日、健康から病気になるベースライン(基準線)を探究する長期プロジェクト「Baseline」の始動を発表した。同社の医療研究用スマートウオッチ「Verily Study Watch」を利用する。

 Verilyが4月14日に発表したStudy Watchは、複数の生理的センサーと環境センサーを搭載し、心臓血管や運動障害といった疾病の研究に関する心電図や心拍数、皮膚電位などのデータを計測する。

 大容量のストレージとデータ圧縮技術により、数週間分の情報を保存できる。リアルタイムのアルゴリズム処理を可能にする強力なプロセッサを採用し、すべての健康関連データはデバイス上で暗号化される。暗号化データはクラウド上にアップロードされ、Verilyのバックエンドアルゴリズムと機械学習技術で処理される。

 Baselineプロジェクトは、米デューク大学医学部や米スタンフォード大学医学部と協力して進める。プロジェクトの第1段階として、Study Watchを装着した約1万人の被験者から、4年以上かけて健康関連データを収集する。健康な状態から罹患になるベースラインの解明やリスク因子の特定に役立つデータプラットフォームの構築を目的とする。

 Study Watchだけでなく、オンラインや電話でのアンケート、診察を通じて、被験者の健康に関するあらゆる情報や計測値を集める。第2段階では、健康情報を閲覧、整理、活用するためのツールや技術のテストおよび開発に取り組む。

  Project Baselineのデータリポジトリは、「Google Cloud Platform」上で管理する。プライバシーやセキュリティーに配慮し、個人が特定できないようにした上で、資格のある研究者が将来的な予備分析のためにアクセスできるようにする。

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